Debian を初めてインストールする場合、いくつかの作業段階を経てインストール をします。それは以下の順序になります。
最初の作業段階である Debian インストーラのブートは、通常 Rescue Floppy か CD-ROM から行います。 お使いのハードウェアによっては、最初のブートが最も困難な場合もあります。 そのためそれについては インストーラのブート, 章 6 にて説明します。
一旦 Linux をブートしたら、dbootstrap
プログラムが起動し、
第 2 段階であるシステムの初期設定を行います。この作業段階については dbootstrap
によるシステムの初期設定, 章 7 で詳細に説明します。
「Debian 基本システム」は、Debian がスタンドアローンで動作するのに最低限
必要な、核となる一連のパッケージです。
初期設定を行って、一旦基本システムをインストールすれば、そのマシンは他に
依存せずそれ自身で動作できるようになります。
Debian 基本システムは、フロッピーディスク、ハードディスク、CD-ROM、
NFS サーバなどのメディアからインストールできます。
dbootstrap
がこのインストールを実行します。こちらに関しては、
``Install the Base System'', Section 7.13 で説明します。
インストールの最終段階は、残りの Debian システムをインストールすることです。
こちらには、X Window System、エディター、シェル、開発環境など、
実際にお使いになるアプリケーションやドキュメントが含まれます。
残りの Debian システムは、CD-ROM や Debian アーカイブのあらゆるミラーから
(インターネットやそれ以外から、また HTTP や、FTP、NFS 経由で) インストール
することができます。
現時点では、dselect
もしくは apt-get
といった標準的な Debian パッケージ管理ツールを使うことになるでしょう。
この作業段階については システムの残りの部分をインストールする, Section 7.23 で説明します。
インストールのある作業段階で利用するメディアと、 他の作業段階で利用するメディアが同じものである必要のない ことは心に留めておいてください。 つまり、Rescue Floppy からブートし、NFS から基本システムをインストールし、 システムの残りを CD-ROM からインストールすることもできるのです。 システムをアーカイブからダウンロードするならば、普通フロッピーから 基本システムをインストールし、インターネット経由で完全な Debian システムをインストールするでしょう。
インストールの最初の三つの作業段階で必要になるインストールシステムは、 ``Rescue Floppy''、 ``Drivers Floppy''、 ``Base System'' の三つの部分に分かれています。 以下ではさまざまなインストール方法と、インストールに必要となるファイルに ついて説明します。 どのファイルを用いるのか、またどの段階でインストールに用いるメディアを 用意する必要があるのかは、Debian のインストールの際にお選びになる 方法によって異なります。
まず最初に、インストーラのブートに用いるメディアを、 その次に基本システムのインストールに用いる方法を選択してください。
インストーラをブートする方法には、フロッピー、 ブート可能な CD-ROM、 もしくは、Linux 以外で用いられるブートローダーがあります。
フロッピーからのブートはほとんどのプラットフォームでサポートされています。 フロッピーによるブートについてはフロッピーからのブート, Section 5.6に説明があります。
CD-ROM からのブートは、最も簡単なインストール方法の一つです。 ただ、運悪く CD-ROM 上のカーネルがうまく動作しなかったら、 他の方法に戻ってください。 CD-ROM からのインストールは CD-ROM からのインストール, Section 5.4 で説明します。
既存のオペレーティングシステムからブートすることが、適切な選択であることも よくあります。というのは、あるシステムではこちらがインストールの唯一の方法 であるからです。この方法についてはハードディスクからのインストール, Section 5.3で説明します。
基本システムは、フロッピー (フロッピーからの基本システムのインストール, Section 5.7)、 CD-ROM (CD-ROM からのインストール, Section 5.4)、NFS サーバ (NFS からのインストール, Section 5.5)、 ローカルハードディスク (ハードディスクからのインストール, Section 5.3) のいずれかからインストール することができます。 お持ちのメディアの中から、最も都合のよいものを選択してください。
この節では、disks-alpha
ディレクトリにあるファイルの
一覧を簡単な説明を付して紹介します。
これらすべてをダウンロードする必要はないでしょう。このことはブートおよび
基本システムのメディアに、何をお選びになるかによってまったく異なってきます。
ほとんどのファイルはフロッピーディスクのイメージです。これらは必要な フロッピーディスクを作成するためにディスクに書き込まれる、 単一のファイルとなっています。 これらのイメージは、明らかに 1.4MB や 1.2MB、720KB といった書き込み先の フロッピーの容量によって異なってきます。どの容量のものが利用できるかは、 お使いのプラットフォームによって左右されます。 (例えば 720KB ドライブは Atari 固有のものです。) それぞれのファイル名に、1.4MB ドライブ用のイメージでは ``14'' という数字 が、1.2MB ドライブ用のイメージでは ``12'' という数字が、そして、720KB 用のイメージでは ``72'' という数字が埋め込まれています。
もしこの文書をネットワークに接続されたコンピュータ上のウェブブラウザで
ご覧になっているなら、ブラウザ上でファイル名を選択することで各ファイルを
取り寄せることができるでしょう。
お使いになっているブラウザにもよりますが、
バイナリモードでそのまま直接ファイルにダウンロードするためには、
特別な操作が必要かもしれません。
例えばネットスケープナビゲータでファイルを取り寄せるためには、
シフトキーを押したままそのリンクをクリックする必要があります。
この文書に記載されている URL から各ファイルをダウンロード
することができますが、それらを ftp://ftp.debian.org/debian/dists/slink/main/disks-alpha/current/
や、
Debian ミラーサイト
の対応するディレクトリから取り寄せることも可能です。
alcor/resc1440.bin
、 avanti/resc1440.bin
、 book1/resc1440.bin
、 cabriolet/resc1440.bin
、 eb64p/resc1440.bin
、 eb66/resc1440.bin
、 eb66p/resc1440.bin
、 eb164/resc1440.bin
、 jensen/resc1440.bin
、 lx164/resc1440.bin
、 noname/resc1440.bin
、 noritake/resc1440.bin
、 noritake-p/resc1440.bin
、 miata/resc1440.bin
、 mikasa/resc1440.bin
、 mikasa-p/resc1440.bin
、 ruffian/resc1440.bin
、 pc164/resc1440.bin
、 sable/resc1440.bin
、 sable-g/resc1440.bin
、 sx164/resc1440.bin
、 ruffian/resc1440.bin
、 takara/resc1440.bin
、 xl/resc1440.bin
、 xlt/resc1440.bin
-- Rescue Floppy のイメージCPU や、マザーボード、ビデオカード のサポート, Section 2.1.2 で指定された ご自分の機種をサポートするフロッピーイメージを選択してださい。
alcor/drv1440.bin
、 avanti/drv1440.bin
、 book1/drv1440.bin
、 cabriolet/drv1440.bin
、 eb64p/drv1440.bin
、 eb66/drv1440.bin
、 eb66p/drv1440.bin
、 eb164/drv1440.bin
、 jensen/drv1440.bin
、 lx164/drv1440.bin
、 noname/drv1440.bin
、 noritake/drv1440.bin
、 miata/drv1440.bin
、 miata-s/drv1440.bin
、 mikasa/drv1440.bin
、 ruffian/drv1440.bin
、 pc164/drv1440.bin
、 sable/drv1440.bin
、 sable-g/drv1440.bin
、 sx164/drv1440.bin
、 ruffian/drv1440.bin
、 takara/drv1440.bin
、 xl/drv1440.bin
、 xlt/drv1440.bin
-- Drivers Floppy のイメージもし特別な Rescue Floppy イメージをお使いになる場合は、 それに対応した Drivers Floppy を使う必要があります。
base2_1.tgz
か、 base14-1.bin
, base14-2.bin
, base14-3.bin
, base14-4.bin
, base14-5.bin
, base14-6.bin
, base14-7.bin
-- 基本システムbase2_1.tgz
ファイルが利用できます。
root1440.bin
-- ルートイメージ
install.txt
、 install.html
-- インストールマニュアル
fdisk.txt
cfdisk.txt
basecont.txt
md5sum.txt
md5sum
プログラムをお持ちであれば、
md5sum -v -c md5sum.txt を実行することで、
お手持ちのファイルが改竄されていないか確認することができます。
場合によっては、既存のオペレーティングシステムからブートなさりたい かもしれません。基本システムをディスクからインストールする場合でも、 インストールシステムを他の方法を用いてブートすることは可能です。
ext2fs パーティション、あるいは Minix パーティションから Debian をインストールすることもできます。 こちらのインストール方法は、例えばすでにインストールされた Linux システムを Debian で完全に置き換える場合に適切です。
Debian のインストール元のパーティションと、インストール先のパーティションは、別にしなければならないことにご注意ください。
(すなわち、/、/usr、/lib
などそのすべてを別にしてください。)
既存の Linux パーティションからインストールする場合は、 以下の説明にしたがってください。
base2_1.tgz
もしブート可能な CD ドライブをお持ちで、お使いのアーキテクチャやシステムが CD-ROM からのブートをサポートしているなら、フロッピーはまったく必要ありません。 CD-ROM をドライブに入れてリブートしてください。 そうしたら、以下の節はとばして、インストーラのブート, 章 6 をご覧ください。
CD-ROMからブートできない場合でも、Debian の基本システムを CD-ROM からインストールすることは可能です。 単に他のインストール方法の一つを用いてブートしてください。 つまり、基本システムや追加パッケージをインストールするときに、 ``Install the Base System'', Section 7.13 の説明にしたがって、CD-ROM ドライブをインストールシステムとして選択すればよいのです。
NFS 経由でインストールできるのは、その性質上基本システムだけです。
すでに説明した方法のいずれかを用いて、手元で利用できる
Rescue Floppy と Drivers Floppy を用意しておく必要があるでしょう。
NFS 経由で基本システムをインストールするためには、dbootstrap
によるシステムの初期設定, 章 7での説明の通りに標準的なインストール手順を踏まなければな
りません。忘れずに、お使いのイーサネットカード用のモジュール (ドライバ) と、
NFS 用のファイルシステムのモジュールをロードしてください。
dbootstrap
に、
どこに基本システムが置かれているかを尋ねられた時には (``Install the Base System'', Section 7.13)、NFS を選択しその指示にしたがってください。
フロッピーからのブート方法は簡単です。 Rescue Floppy のイメージと Drivers Floppy のイメージを 単純にダウンロードしてください。そして、 ディスクイメージからフロッピーを作成する, Section 5.8 の説明にしたがってそれらをフロッピーに書き込みます。 必要があれば Rescue Floppy を修正することもできます。 Rescue Floppy のカーネルの交換, Section 9.3 をご覧ください。
注意: フロッピーが一般的に最も信頼性の低い種類のメディアであることから、 こちらは Debian をインストールする方法としては推奨できません。 こちらの方法が推奨されるのは、お使いになるシステムのハードディスクのいずれ にも、余分な既存のファイルシステムがない場合だけです。
以下の手順にしたがってください。
base14-1.bin
、 base14-2.bin
、など)
ディスクイメージは、フロッピーディスクの完全な内容をそのままの
形式で含んだファイルです。
resc1440.bin
のようなディスクイメージは、フロッピーディスクに
単純にコピーすることはできません。
イメージファイルをフロッピーディスクにそのままの形式で
書き込むために、特別なプログラムを用います。
このようなことが必要になるのは、これらのイメージがディスクの内容をそのまま
記録してあるためです。つまり、ファイルからフロッピーへデータの
セクタコピーが必要になるのです。
お使いのプラットフォームによって、ディスクイメージからフロッピーを作成する 方法は異なってきます。 この節では、異なるプラットフォームでどのようにディスクイメージから フロッピーを作成するかを説明します。
フロッピーをどの方法で作成したとしても、不注意でそれらを壊さないために、 一旦イメージを書き込んだら、忘れずにフロッピーの爪を動かして 書き込み禁止にしてください。
フロッピーディスクイメージをフロッピーディスクに書き込むためには、おそらく システムのルート特権が必要になるでしょう。 適切な空のフロッピーディスクをフロッピードライブに挿入したら、 次に以下のコマンドを使ってください。
dd if=ファイル名 of=/dev/fd0 bs=512 conv=sync ; sync
ファイル名のところには、
フロッピーディスクイメージの一つを当てはめます。
また、/dev/fd0
はフロッピーディスク装置によく使われている名前
です。(こちらは Solaris 上では /dev/fd/0
になります。)
Unix が フロッピーディスクへの書き込みを終える前に、このコマンドは
プロンプトを返すかもしれません。そのため、ドライブからフロッピーディスクを
取り出す前に、フロッピードライブのディスク使用中のランプをみて、
それが消えていること、ディスクの回転が止まっていることを確認してください。
システムによっては、ドライブからフロッピーディスクを取り出すために、
なにかコマンドを実行させなければならないかもしれません。
(Solaris 上では eject
を使ってくさい。
こちらについてはマニュアルページをご覧ください。)
またあるシステムは、フロッピーディスクをドライブに挿入すると、それを自動的
にマウントしようと試みます。
そのようなワークステーションで、イメージをそのままの形式で
フロッピーディスクに書き込むためには、
この機能を無効にしなければならないかもしれません。
残念ながら、その設定をどのようにするかはお使いになっている
オペレーティングシステムによって異なってきます。
Solaris 上では、vold
が実行されていないことを確認してください。
その他のシステムに関しては、ご自身のシステム管理者にお尋ねください。
はじめて Debian をインストールする方々が抱える一番の問題は、 フロッピーディスクの信頼性のようです。
Rescue Floppy は Linux がブートする前にハードウェアによって直接読まれる ことから、最悪の問題点を抱えています。 ハードウェアは Linux のフロッピーディスクドライバほど信頼性のある読み込み をしないことが多く、誤ったデータを読み込んだときには、エラーメッセージも 表示せずに止まってしまうこともあります。 Drivers Floppy や基本システムフロッピーにも、これと同様に失敗する 可能性はあります。ただし、これらのほとんどはディスク I/O エラーに関する たくさんのメッセージを出して、読み込みが失敗したことを教えてくれます。
ある特定のフロッピーでインストールが失敗するならば、まず最初に フロッピーディスクのイメーをダウンロードし直して、 別のフロッピーに書き込んでみてください。 フロッピーの再フォーマットや書き込みの際にエラーがでなかったとしても、 古いフロッピーを単に再フォーマットするだけでは不十分でしょう。 場合によっては、異なるシステム上でフロッピーへの書き込みを行う方が よいかもしれません。
一つのフロッピーがうまく動作するまでに 3 回もイメージを書き直し、 3 枚目のフロッピーでようやくうまく動作したというユーザの報告もあります。
また、別のユーザは、同じフロッピーを同じフロッピードライブで用いても、 単に数回リブートすればブートに成功したとも報告しています。 これらはすべて、バグのはびこったハードウェアもしくはフロッピードライバの ファームウェアによるものです。