Debian GNU/Linux 2.1 のインストール (Intel x86) ----------------------------------------------- Bruce Perens Sven Rudolph Igor Grobman James Treacy Adam Di Carlo version 2.1.12, 10 December, 1999 ------------------------------------------------------------------------------- 概要 ---- この文書は、Debian GNU/Linux 2.1 システム - Intel x86 (``i386'') アーキテクチャ用のインストールの手引きです。 こちらには、さらに詳しい情報へのポインターや、新しい Debian システムの よりよい利用法に関する情報も含まれています。 ただしこの文書で扱う手順は、 既存のシステムをアップグレードするためのものでは_ありません_。 アップグレードの手順に関しては、 Debian 2.1 リリースノート (http://www.jp.debian.org/releases/2.1/i386/release-notes/) をご覧ください。 著作権表示 ---------- この文書は、GNU 一般公有使用許諾の条件に基づいて修正および再配付することが可能です。 (c) 1996 Bruce Perens (c) 1996, 1997 Sven Rudolph (c) 1998 Igor Grobman, James Treacy (c) 1998, 1999 Adam Di Carlo なお日本語訳については、鴨志田 睦 (1997 年)、遠藤 美純、岡 充 (1998、1999 年)、 門脇 正史、鍋谷 栄展、八田 真行、Guangcheng Wen (1999 年) に著作権があります。 このマニュアルはフリーソフトウェアです。あなたは、Free Software Foundation が公表した GNU 一般公有使用許諾の第二版あるいはそれ以降のいずれかの版 の条件に基づいて、本文書の再配付および変更を行うことが可能です。 本文書はその有用性が期待されて配付されるものですが、 市場性や特定の目的への適合性に関する暗黙の保証も含め、 _いかなる保証も行ないません_。 詳細については GNU 一般公有使用許諾書をお読みください。 GNU 一般公有使用許諾の写しは、Debian GNU/Linux ディストリビューションの `/usr/doc/copyright/GPL' や、WWW 上では GNU ウェブサイト (http://www.gnu.org/copyleft/gpl.html)にあります。 また Free Software Foundation, Inc., 59 Temple Place - Suite 330, Boston, MA 02111-1307, USA へ手紙 (英語) で依頼し入手することもできます。 この文書から派生したいかなるものも、それが Debian およびこの文書の著者に帰することを正しく明記してください。 また、もしこの文書の修正や改良を行なった場合には、この文書の著者に を通してお知らせいただけるようお願いします。 なお日本語訳に関する訂正や提案などは、日本語版メンテナ 遠藤 美純 にまでお送りください。 ------------------------------------------------------------------------------- 目次 ---- 1. Debian へようこそ 1.1. この文書の最新版を入手する 1.2. この文書の構成 1.3. 著作権およびソフトウェアライセンスについて 2. 必要なシステム 2.1. サポートされているハードウェア 2.2. インストールに利用できるメディア 2.3. 必要なメモリー量とディスクスペース 2.4. 周辺機器およびその他のハードウェア 2.5. GNU/Linux に適したハードウェアの購入 3. 始める前に 3.1. バックアップ 3.2. 必要な情報 3.3. インストール前にすべきハードウェアとオペ レーティングシステムの設定 4. ハードディスクのパーティション分割 4.1. 背景 4.2. システムの利用計画 4.3. Linux におけるデバイス名 4.4. パーティション分割の推奨案 4.5. パーティション分割の一例 4.6. インストール前のパーティション分割 4.7. DOS、Windows、OS/2 から始める際に損失のないパーティション切り直し 4.8. DOS 上のパーティションを分割する 5. Debian のインストール方法 5.1. インストールに用いるメディアの選択 5.2. システムファイルインストールの解説 5.3. ハードディスクからのインストール 5.4. CD-ROM からのインストール 5.5. NFS からのインストール 5.6. フロッピーからのインストール 5.7. メモリーの少ないシステムでのインストール 5.8. ディスクイメージからフロッピーを作成する 6. インストーラのブート 6.1. ブートパラメータの引数 6.2. Rescue Floppy によるブート 6.3. メモリの少ないシステムでのブート 6.4. CD-ROM からのブート 6.5. カーネルのスタートアップメッセージの解説 6.6. ブートプロセスに関するトラブルシューティング 7. `dbootstrap' によるシステムの初期設定 7.1. `dbootstrap' 入門 7.2. ``Debian GNU/Linux Installation Main Menu'' 7.3. ``Configure the Keyboard'' 7.4. ラストチャンス! 7.5. ``Partition a Hard Disk'' 7.6. ``Initialize and Activate a Swap Partition'' 7.7. ``Initialize a Linux Partition'' 7.8. ``Mount a Previously-Initialized Partition'' 7.9. ``Install Operating System Kernel and Modules'' 7.10. ``Configure PCMCIA Support'' 7.11. ``Configure Device Driver Modules'' 7.12. ``Configure the Network'' 7.13. ``Install the Base System'' 7.14. ``Configure the Base System'' 7.15. ``Make Linux Bootable Directly From Hard Disk'' 7.16. ``Make a Boot Floppy'' 7.17. 決着のとき 7.18. ルートアカウントのパスワードを設定する 7.19. 一般ユーザの登録 7.20. シャドウパスワードのサポート 7.21. PCMCIA サポートの取り外し 7.22. プロフィールの選択とインストール 7.23. ログイン 7.24. PPP の設定 7.25. システムの残りの部分をインストールする 8. 次のステップとそれから 8.1. Unix を初めてお使いになる方へ 8.2. Debian に慣れる 8.3. さらなる文書や情報 8.4. 新しいカーネルのコンパイル 8.5. Debian 2.1 における Linux 2.2 カーネルの利用 9. ブートフロッピーに関する技術情報 9.1. ソースコード 9.2. Rescue Floppy 9.3. Rescue Floppy のカーネルの交換 9.4. Base Floppy 10. 付記 10.1. この文書について 10.2. この文書に貢献するには 10.3. 多大な貢献 10.4. 商標表示 ------------------------------------------------------------------------------- 1. Debian へようこそ -------------------- 私たちは、あなたに Debian を試していただけることを嬉しく思っています。 また、数々のオペレーティングシステムディストリビューションの中にあって、 Debian がユニークであることに気づいていただけるとも確信しております。 Debian は、世界中の素晴らしいフリーソフトウェアを集め、首尾一貫した全体に まとめあげられたディストリビューションです。 この集大成は、個々のパッケージ以上の力を発揮することでしょう。 Debian GNU/Linux ディストリビューションは、 多数のソフトウェア_パッケージ_から成り立っています。 その各パッケージは、実行プログラム、スクリプト、ドキュメント、 設定情報などから構成されています。また各パッケージには、 そのパッケージに責任を持つ_パッケージ開発者_がいます。 Debian の_めざましい_発展は、このようにして実現されているのです。 Debian 社会契約 (http://www.jp.debian.org/social_contract) に同意していただける方は誰でも、新たな開発者になれます。 そして、新たに開発に加わった方は誰でも、新たなソフトウェアを (フリーに関する私たちの基準にそのソフトウェアが適合し、 作成されたパッケージが品質基準を満たすならば) Debian に導入することができます。 Debian フリーソフトウェアガイドライン (http://www.jp.debian.org/social_contract#guidelines) は、フリーソフトウェアについての Debian の基準に関する明解で簡潔な声明です。 この文書は、フリーソフトウェア運動にも大きな影響を及ぼしており、 オープンソースフリーソフトウェアガイドライン (http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/9803/osd-ja/osd-ja.html) の基礎を提供しました。 Debian の品質基準を定める詳細な仕様書は、 Debian ポリシー (http://www.debian.or.jp/Documents/Documents_ja/debian-policy/)のみです。 この文書は Debian のパッケージが準拠すべき品質や基準を定義しています。 あなたのシステムをトロイの木馬や他の悪意あるソフトウェアから守るために、 Debian は各パッケージが本当の Debian の 開発者によるものなのかどうかを確認しています。 また Debian の各パッケージは、 安全な方法でパッケージを設定するようにも注意されています。 もしリリースされたパッケージにセキュリティー上の問題が発生すれば、 その修正版は普通すぐに利用できます。 単純にお使いのシステムを定期的にアップデートすることで、 セキュリティーが修正されたものをダウンロードしインストールすることもできます。 Debian に関するより一般的な情報については Debian FAQ (http://www.rr.iij4u.or.jp/~hattas/debian_jp/debian-faq-ja.html) をご覧ください。 1.1. この文書の最新版を入手する ------------------------------- この文書には絶えず変更が加えられています。 2.1 リリースに関する最新情報については、 Debian 2.1 ページ (http://www.jp.debian.org/releases/2.1/) にて確認してください。 このインストールマニュアルの最新版は、 インストールマニュアル公式ページ (http://www.jp.debian.org/releases/2.1/i386/install) からも利用できます。 なお `boot-floppies-ja' 向けに、 インストーラのメッセージが翻訳されている 日本語メッセージ版の最新版に関しては、 Debian/Debian JP ドキュメントプロジェクト (http://www.debian.or.jp/Documents/index.ja.html) をご覧ください。 1.2. この文書の構成 ------------------- この文書は、初めて Debian をお使いになるユーザのために書かれたマニュアル です。お手持ちのハードウェアの動作に関しては一般的な知識があることを前提と していますが、なるべく専門的な知識がなくてもお読みいただけるよう心がけてい ます。 また熟練したユーザであっても、この文書で、最低限インストールに必要な容量や、 Debian のインストーラでサポートされるハードウェアの詳細など、 参考になる情報を得ることができるでしょう。熟練したユーザの方には、 この文書のあちこちをかいつまんでお読みになることをお勧めします。 基本的にこの文書は、実際に体験するインストールのプロセスに沿って、 順々に説明するように構成されています。インストールの各作業段階と、 それに関連するこの文書の各節は以下の通りになっています。 1. 章 2, `必要なシステム' では、お手持ちのハードウェアがインストーラ の利用条件を満たしているかどうかを調べます。 2. 章 3, `始める前に' では、既存のシステムをバックアップし、 Debian のインストールに先だつシステム設計やハードウェアの設定を行います。 3. 章 4, `ハードディスクのパーティション分割' の説明にしたがって、ハードディスクのパーティ ションを分割します。 パーティションの変更は容易にはできませんので、こちらは極めて重要です。 4. 章 5, `Debian のインストール方法'では、 Debian のさまざまなインストール方法を紹介します。 こちらでは適宜インストール方法を選び、その準備をします。 5. 次にインストーラをブートします。この作業段階に関する情報は 章 6, `インストーラのブート' にて扱います。またこの章では、 ブートに問題があった際のトラブルシューティングの手順についても紹介します。 6. 初期システム設定を行います。こちらに関しては、 章 7, ``dbootstrap' によるシステムの初期設定' の Section 7.1, ``dbootstrap' 入門' から Section 7.12, ```Configure the Network''' にかけて説明します。 7. Section 7.13, ```Install the Base System''' からは、基本システムのインストールを行います。 8. Section 7.17, `決着のとき' からは、 新たにインストールした基本システムからのブートと、 基本システムインストール後のいくつかの作業を行います。 9. Section 7.25, `システムの残りの部分をインストールする' では、`dselect' を利用してシステムの残りの部分をインストールします 一旦システムをインストールし終えたら、章 8, `次のステップとそれから' をお読みください。この章では、Unix や Debian に関するさらなる情報の所在と、 カーネルの交換の方法を説明します。 また、ソースから独自のインストーラを構築されたい場合は、 章 9, `ブートフロッピーに関する技術情報' をご一読ください。 最後に 章 10, `付記' では、この文書に関する情報、 こちらへの貢献の仕方について触れます。 1.3. 著作権およびソフトウェアライセンスについて ----------------------------------------------- この文書を読んでいる方は、多数の商用ソフトウェアにあるようなライセンス (購入したソフトウェアのコピー 1 部を、1 台のコンピュータで使用できる) はご存知のことでしょう。しかし、 この Debian GNU/Linux システムはそのようなものとは違います。 私たちは、あなたの通っている学校や仕事場にあるすべてのコンピュータに Debian GNU/Linux をインストールすることを勧めます。また、 友達に貸して、彼らのコンピュータにインストールするのを手伝ってあげましょう。 さらには、わずかな制限にさえ気をつければ、 何千部ものコピーを作って_売る_ことも可能です。 なぜなら、Debian は_フリーソフトウェア_に基づいているからです。 フリーソフトウェアとは著作権を持っていないという意味ではありません。 あなたが購入したこのソフトウェアを含む CD が無償で配布されているという 意味でもありません。フリーソフトウェアとは、 おおまかなところ個々のプログラムのライセンスにおいて、 プログラムを利用したり再配付したりする権利のためにお金を払う 必要がないことを意味しているのです。 また誰でも、そのソフトウェアを拡張したり、改造したり、修正すること、 さらにその成果を再配付することが可能であることも意味しています [1]。 [1] Debian では、私たちのフリーの基準に適合しないパッケージも多数 利用できるようになっていることにはご注意ください。これらは、`contrib' あるいは `non-free' エリアにて配付されています。 Debian FAQ (http://www.rr.iij4u.or.jp/~hattas/debian_jp/debian-faq-ja.html) の「 Debian FTP アーカイブ」の節をご覧ください。 このシステムに入っているプログラムの多くは、GNU 一般公有使用許諾 _GNU_ _General Public License_ _(GPL)_ にしたがって 利用許諾されています。この GPL は、プログラムのコピーを配布するときには、 必ずプログラムの_ソースコード_を利用可能にしておくことを要求しています。 これは、ユーザがそのソフトウェアを修正できることを保証するものです。 そのため、私たちは、Debian システムに含まれる GPL 準拠のプログラムの ソースコードをすべて収録しています [1]。 Debian に収録されたプログラムの著作権やソフトウェアライセンスの形式には、 他にも数種あります。それぞれのプログラムの著作権やライセンスは、 一度システムをインストールすれば、 `/usr/doc/<パッケージ名>/copyright' ファイルを探せば見つけることができます。 [1] Debian ソースパッケージの探し方や展開の仕方に関する情報については、 Debian FAQ (http://www.rr.iij4u.or.jp/~hattas/debian_jp/debian-faq-ja.html) をご覧ください。 ライセンスや、Debian がメインディストリビューションにソフトウェアを 収録する際に用いているフリーの基準に関してより詳細な情報をお求めの場合は、 Debian フリーソフトウェアガイドライン (http://www.jp.debian.org/social_contract#guidelines) をご覧ください。 最も重要な法律上の注意点は、このソフトウェアが_無保証_であることです。 これは、このソフトウェアを作成したプログラマーらがコミュニティーの利益 を考えてのことです。 ソフトウェアは、いかなる目的への利用に対しても保証されていません。 しかし、ソフトウェアがフリーであるゆえに、ユーザには必要に応じて ソフトウェアを修正する権限が与えられます。 また、このようにしてソフトウェアの拡張が誰かによってなされれば、 その利益も享受できます。 ------------------------------------------------------------------------------- 2. 必要なシステム ----------------- この節では、Debian を始めるために必要なハードウェアに関する情報を扱います。 また、GNU や Linux でサポートされるハードウェアに関するより詳しい情報への リンクも用意しました。 2.1. サポートされているハードウェア ----------------------------------- Debian は、Linux カーネルや GNU ツールセットが必要とする以上のハードウェア を要求しません。それゆえ、Linux カーネル、libc、`gcc' などが 移植されて、Debian への移植版が存在すれば、あらゆるアーキテクチャや プラットフォームで Debian を動作させることができます。 しかし、私たちが用意したブートフロッピーは、サポートされているハードウェア を考慮して構成されたものとはいえ、いくらかの制限があります。Linux がサポート するプラットフォームの中には、私たちが用意したブートフロッピーで直接 サポートされていないものもあります。 もしこのようなケースにあたった場合には、独自にレスキューディスクを 用意するか、ネットワーク経由のインストールについて調べる必要があります。 この節では、Intel x86 でサポートされるハードウェアのさまざまな設定の すべてに触れるよりも、一般的な情報とさらなる情報が見つけられる場所への ポインターを紹介します。 2.1.1. サポートされているアーキテクチャ --------------------------------------- Debian 2.1 は、Intel x86 ベースのアーキテクチャ、Atari や Amiga、 Macintosh などの Motorola 680x0 マシン、DEC Alpha、Sun SPARC マシン、 CHRP、PowerMac、PReP といったサブアーキテクチャを持つ IBM/Motorola マシンの五つのアーキテクチャをサポートしています。 それぞれ、_i386_、_m68k_、 _alpha_、_sparc_、_powerpc_ として言及します。 この文書は _i386_ アーキテクチャへのインストールを扱います。 なおこの文書の、他アーキテクチャ版も用意されています。 2.1.2. CPU や、マザーボード、ビデオカード のサポート ---------------------------------------------------- サポートされる周辺機器に関する完全な情報は、 Linux ハードウェア互換 HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/Hardware-HOWTO.html) にあります。この節ではその基本的なことのみ概観します。 x86 ベースのプロセッサは、AMD や Cyrix のプロセッサを含め、 そのほとんどすべてがサポートされています。 ただし、Linux は 286 やそれ以前の CPU では動作し_ない_でしょう。 システムバスとは、CPU と記憶装置のような周辺機器との通信を可能にするために マザーボードに搭載されているものです。 ISA、EISA、PCI、Microchannel アーキテクチャ (IBM の PS/2 シリーズに採用された MCA)、 VESA ローカルバス (VLB、時に VL バスとも呼ばれる) がコンピュータに必要です。 ラップトップコンピュータもサポートされています。 ただ、ラップトップではしばしば特化された設計がなされており、 閉鎖的なハードウェアが採用されています。 特定のラップトップが GNU/Linux でうまく動作するかどうかを知るためには、 Linux ラップトップページ (http://www.cs.utexas.edu/users/kharker/linux-laptop/) をご覧ください。 コンソール端末を使用するためには、VGA 互換のディスプレイインターフェースが 必要です。最近のビデオカードは、そのほぼすべてが VGA に互換性があります。 かつての標準であった CGA や、MDA、HGA なども、X Window System のサポートを必要としないなら動作するでしょう。 なお、この文書で扱うインストールの過程では X Window System は用いません。 Debian がサポートするグラフィックインターフェースは、 XFree86 の X Window System のサポートに基づいたものです。 さらに新しい AGP ビデオスロットは、実際のところ PCI 仕様を部分的に変更した ものですので、そのほとんどは XFree86 の下で動作します。 サポートされているグラフィックバス、カード、モニタ、ポインティングデバイス に関するより詳細な情報については、 http://www.xfree86.org/ をご覧ください。 なお Debian 2.1 の X11 リビジョンは 3.3.2.3a です。 2.1.3. マルチプロセッサ ----------------------- 対称型マルチプロセッシング、もしくは SMP と呼ばれるマルチプロセッシングも、 このアーキテクチャではサポートされています。 ただ、Debian 2.1 の標準カーネルイメージは SMP をサポートしていません。 もちろん標準的な非 SMP カーネルは、SMP システムでもブートできますから、 インストールには問題ありません。 標準カーネルは単純に一番目の CPU を用います。 マルチプロセッサを利用するためには、Debian の標準カーネルを再構築する必要 があります。こちらの方法に関する論議は Section 8.4, `新しいカーネルのコンパイル' にあります。 現時点 (カーネルバージョン 2.0.38) で SMP を有効にするためには、 カーネルソースの最上位の Makefile を編集して、`SMP = 1' と書かれた 行のコメントを外します。複数のプロセッサを持つシステムでソフトウェアを コンパイルする場合は、make(1) のドキュメント中の `-j' flag をご覧ください。 2.2. インストールに利用できるメディア ------------------------------------- Debian は、フロッピー、CD-ROM、ローカルディスクパーティション、 ネットワークの四つの異なるメディアからインストールできます。 Debian のインストールの各部分に対して、 これらの四つの方法を組み合わせることも可能です。 こちらに関しては 章 5, `Debian のインストール方法' をご覧ください。 フロッピーディスクによるインストールは、概して最も好ましくない方法ですが、 一般的な方法です。 多くの場合、最初のブートは Rescue Floppy を用いてフロッピーから行う必要があるでしょう。 通常 3.5 インチ高密度 (1440 kb) フロッピードライブさえあれば十分です。 5.25 インチ倍密度インストールフロッピー (1200 k) も提供されています。 CD-ROM ベースのインストールがサポートされたアーキテクチャもあります。 CD-ROM からのブートをサポートしたマシンでは、完全にフロッピーレスな インストールが可能です。CD-ROM からのブートがサポートされていなかったとしても、 一旦他の手段でブートすれば、他の方法と組み合わせてインストールに CD-ROM を使うことができます。Section 5.4, `CD-ROM からのインストール'をご覧ください。 SCSI および IDE/ATAPI の CD-ROM はともにサポートされています。 さらに、Linux でサポートされている (ミツミや松下などの) 非標準の CD インターフェースも、ブートディスクでサポートされています。 しかし、これらのモデルには特別なブートパラメータや、動作のための他の処置が 必要なこともあります。また これらの非標準インターフェースの CD-ROM からブートすることは困難です。 Linux 上で CD-ROM を利用するための詳細な情報は、 Linux CD-ROM HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/CDROM-HOWTO.html) にあります。 ローカルディスクからのインストールも一つの選択肢です。 もしインストール先のパーティションよりも大きなパーティションに空き領域 があるなら、こちらは確かによい選択です。 また、ローカルインストーラ (AmigaOS や、TOS、MacOS からのブート用) を持つプラットフォームもあります。 最後の選択肢がネットワークによるインストールです。 システムを NFS 経由でインストールすることができます。 基本システムをインストールした後は、残りのシステムを (PPP を含む) いかなるネットワークコネクションからでも FTP、HTTP、NFS 経由でインストールすることができます。 これらの方法に関するより完全な記述や、 最も適切な方法を選択するためのヒントは、 章 5, `Debian のインストール方法' にあります。 ブートおよびインストールに用いるデバイスが Debian のインストーラで サポートされているかどうかは、以下を読んで確認してください。 2.2.1. サポートされている外部記憶装置 ------------------------------------- Debian のブートディスクには、さまざまなシステムに最大限対応したカーネルが 収められています。そのため残念ながら、まったく使われることのないたくさんの ドライバー (Section 8.4, `新しいカーネルのコンパイル'をご覧ください) が、 カーネルを肥大化させています。 しかし、可能な限り幅広いデバイスのサポートは、さまざまなハードウェアへの Debian のインストールを確実なものとするためには望ましいことでしょう。 一般的に Debian のインストーラは、 フロッピー、IDE ドライブ、IDE フロッピー、 パラレルポートの IDE デバイス、SCSI のコントローラとドライブをサポートしています。 またファイルシステムは、MINIX、FAT、Win-32 拡張 FAT (VFAT) やその他 がサポートされています。 (NFS はインストーラではサポートされていませんのでご注意ください。 ただ Section 8.4, `新しいカーネルのコンパイル' の説明にしたがって、あとでこの方法を 利用することは可能です。) どのハードウェアがサポートされているかをあげるよりも、 Linux でサポートされてはいるが、Debian のブートディスクでは サポートされてい_ない_ハードウェアをあげるほうが容易でしょう。 MFM、RLL、IDE、ATA などの ``AT'' のハードディスクが動作する ディスクインターフェイスがサポートされています。 IBM XT コンピュータで使用される非常に古い 8 ビットハードディスクコントローラも、 モジュールとしてのみですがサポートされています。 また、たくさんの異なったメーカーの SCSI のコントローラもサポートされています。詳細は Linux ハードウェア互換 HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/Hardware-HOWTO.html) をご覧ください。 サポートされていないのは、以下にあげるものを含む IDE SCSI ドライブといくつかの SCSI コントローラです。 * SmartCache III/IV のような EATA-DMA プロトコル対応 SCSI ホストアダプタや、 SmartRAID コントローラ群、DPT PM2011B および PM2012B コントローラ * 53c7 NCR ファミリーの SCSI コントローラ (ただし 53c8 と 5380 コントローラはサポートされています。) 2.3. 必要なメモリー量とディスクスペース --------------------------------------- 最低でも 4MB の RAM と 35MB のハードディスクが 必要です。X Window System や、開発プログラム、ライブラリなどのソフトウェアを、 ある程度インストールするには 300MB 以上必要になります。 ほぼ完全にインストールするなら 600MB 近く必要になるでしょう。 また、Debian で利用できるものを_すべて_インストールするなら、 おそらく 2GB 近く必要になるでしょう。 ただ、実際にはパッケージ同士の衝突があることから、 すべてをインストールことは意味のないことです。 2.4. 周辺機器およびその他のハードウェア --------------------------------------- Linux は、マウス、プリンター、スキャナー、モデム、ネットワークカード、 PCMCIA カードなどのさまざまなハードウェアに幅広く対応しています。しかし、 システムのインストールに、これらのデバイスが必要なわけではありません。 この節では、Linux でサポートされてはいるが、 インストーラではサポートされてい_ない_周辺機器に関する情報を扱います。 特定のハードウェアが Linux 上でサポートされているかを判断するためには、 もう一度 Linux ハードウェア互換 HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/Hardware-HOWTO.html) をご覧ください。 Debian のインストールディスクでは、以下のネットワークインターフェース カード (NIC) がサポートされていません。(こちらもカスタム Linux では使えます。) サポートされていないのは、 AX.25 カードやプロトコルのもの; 3Com Etherlink Plus (3c505) と EtherLink16 (3c507); NI5210 カード; generic NE2100 カード; NI6510 と NI16510 EtherBlaster カード; SEEQ 8005 カード; Schneider & Koch G16 カード; Ansel Communications EISA 3200; そして、Zenith Z-Note ビルトインネットワークカードです。 マイクロチャンネル (MCA) ネットワークカードは、 標準のインストーラではサポートされていませんが、 非公式な Linux MCA ディスクイメージ (ftp://ns.gold-link.com/pub/LinuxMCA/)や、 Linux MCA ディスカッションアーカイブ (http://www.dgmicro.com/linux_frm.htm) をご覧ください。 FDDI ネットワークも、カード、プロトコルともにインストールディスクでは サポートされていません。 ISDN に関しては、German 1TR6 用の D チャンネルプロトコル はサポートされておらず、Spellcaster BRI ISDN ボードもブートフロッピーでは サポートされていません。 サウンドデバイスは標準ではサポートされていません。 2.5. GNU/Linux に適したハードウェアの購入 ----------------------------------------- 今では Debian や 他の GNU/Linux ディストリビューションをプレインストール したシステムを出荷するベンダーもあります。 その特典のためにより多くのお金を払おうと考えるかも知れませんが、 幅広いハードウェアが GNU/Linux でサポートされていることから、 実際のところこのようなシステムを買うことは、 一つの安心感を買うことを意味するだけです。 もし Windows がバンドルされたマシンを買わざるをえない場合は、Windows に付属するソフトウェアライセンスを注意深く読みましょう。 このライセンスを拒否して、 購入元のベンダーから払い戻しを受けることが可能かもしれません。 こちらに関する完全な詳細については http://www.linuxmall.com/refund/ をご覧ください。 Linux がバンドルされたシステムを購入する場合でも、中古のシステムを購入する 場合でも、そのハードウェアが Linux カーネルでサポートされているか改めて 確認することが重要です。 前述の参考資料の中に、そのハードウェアがあげられているかどうかを 確認してください。 (もしいれば) 購入先の販売員には、Linux システムを購入することを伝えましょう。 また、Linux に友好的なハードウェアベンダーをサポートしましょう。 2.5.1. 独占的あるいは閉鎖的なハードウェアを避ける ------------------------------------------------- いくつかのハードウェアメーカはどのようにドライバを書いたらよいかをまったく 教えてくれません。また他のメーカーは Linux のソースコード公表を 妨げるような非公開の同意をしない限り、文書にも触らせてくれません。 IBM の最近の ThinkPad にも使われているラップトップコンピュータの DSP サウンドシステムなどがその一例です。 (これらのシステムの中には、 サウンド機能とモデム機能を結合させたものもあります。) また、他の例としてはマッキントッシュの古いモデル上の 閉鎖的なハードウェアもあげられます。 これらのデバイスが Linux 上でまったく動作しないのは、 それに関する文書を読むことが許可されていないためです。 このようなハードウェアを作っているメーカに、 文書を公開するように要請してください。 もしもたくさんの人たちが要請すれば、彼らも Linux が重要な市場であると認識するでしょう。 2.5.2. Windows 固有のハードウェア --------------------------------- Windows に特化したモデムやプリンタが急増するという迷惑な傾向にあります。 これらは Microsoft Windows によって動作するように特別に設計されていて、 「WinModem」だとか「Windows コンピュータ向けの特別設計」などといったシール が貼られている場合もあります。 このことは一般的に、ハードウェアに内蔵されたプロセッサを取り除き、 その仕事をメインの CPU 上で動作する Windows ドライバに行わせることによって もたらされています。この戦略はハードウェアを安価にしたものの、 このような節約がユーザに恩恵を与えるとは_限りません_。 この種のハードウェアは、同等の機能がハードウェア上に内蔵されたものよりも 高価になることもあります。 Windows に固有のハードウェアは次の二つの理由から避けるべきです。一つめは、 製造メーカが一般的に Linux 用のドライバを書くために必要な情報を 公開しないことです。一般的にハードウェアおよびソフトウェアのデバイスへの インターフェイスは閉鎖的なものであり、もしそれに関する文書が利用可能で あったとしても、関連する情報は公表しないという同意なしには利用できません。 フリーソフトウェアの開発者はプログラムのソースコードを公開するので、 この種のハードウェアはフリーソフトウェア上では利用できなくなっています。 二つめの理由は、これらのハードウェアが内蔵のプロセッサを除去していったとき、 その肩代りを OS がしなければならないということです。 内蔵プロセッサが行う作業は多くの場合_リアルタイム_処理を要する ものなので、その肩代りをする OS はその作業を高い優先度で実行しなければ なりません。その結果 CPU はこれらのデバイスを制御している間、 あなたのプログラムを走らせることができなくなります。 典型的な Windows ユーザが Linux ユーザほど激しくマルチプロセスを 利用しないことから、製造メーカは Windows ユーザがハードウェアの負荷が CPU に置き換わっていることに実際は気づかないだろうとたかをくくっています。 しかしながら、周辺機器の製造メーカーがハードウェア内の処理能力を ケチったとき、マルチプロセス OS のパフォーマンスは、Windows 95 や NT でさえ悪くなります。 これらの製造メーカに、ハードウェアのプログラムを作るのに必要な文書や その他のリソースを公開するように働きかけ、このような状況を変化させる手助けは あなたにもできます。しかし、最もよい方法は Linux ハードウェア互換 HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/Hardware-HOWTO.html) に載るまで、この種のハードウェアを避けることです。 2.5.3. 似非 もしくは「仮想」パリティ RAM ---------------------------------------- コンピュータを取り扱っているお店でパリティ付き RAM を求めるとき、 もしかしたら_本当のパリティ_付きのものではなく、 _仮想パリティ_のものを手に入れることになるかもしれません。 仮想パリティ SIMM は (常にそうであるとは限りませんが) しばしば、 等価なパリティなしの SIMM よりもたった一つチップが多いことから区別できます。 ただ、その余計なチップは他のチップよりも小さいのです。 仮想パリティ SIMM はパリティなしのメモリと同様のものです。それらは、 1 ビットの RAM エラーを、パリティをサポートしたマザーボード上の 本当のパリティ付き SIMM のようには、知らせてくれません。 もうこれ以上、仮想パリティ SIMM に パリティなしの SIMM より高いお金を 払ってはいけません。ちゃんと 8 ビットを満たすよう 1 ビット多いメモリを 買うために、もう少しお金を払って本当のパリティ付き SIMM を買ってください。 Intel x86 アーキテクチャの RAM に関する問題や どの RAM を買うべきかについての完全な情報が必要ならば、 PC ハードウェア FAQ (ftp://rtfm.mit.edu/pub/usenet-by-hierarchy/comp/sys/ibm/pc/hardware/systems/) をご覧ください。 ------------------------------------------------------------------------------- 3. 始める前に ------------- 3.1. バックアップ ----------------- インストールを始める前に、現在使用しているシステムのすべてのファイルを バックアップしてください。インストールの手続きはハードディスクのすべての データを消す可能性があります。 インストールに用いられるプログラム群は、極めて安定しており、何年も 使用されてきたものです。しかし、まだ何か間違いの起こる 可能性があるかもしれません。 注意深くバックアップを取った後も、この問題に関するあなたの答えと 行動について考えてみてください。 ほんの数分間の考慮によって、何時間もの不要な作業を避けることができる かもしれません。 また、複数のブートシステムをインストールする場合は、他にお持ちの オペレーティングシステムの配付メディアを、手元に置いておくことを 忘れないでください。 特にブートドライブのパーティションを切り直す場合は、 オペレーティングシステムのブートローダーや、場合によっては (Macintosh などでは) オペレーティングシステムそのものを、 再インストールしなければならなくなるかもしれません。 3.2. 必要な情報 --------------- この文書に加えて、 cfdisk (cfdisk.txt) のマニュアル、 fdisk (fdisk.txt) のマニュアル、 初心者のための dselect 入門 (dselect-beginner.ja.html)、 Linux ハードウェア互換 HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/Hardware-HOWTO.html)、 を用意しておくとよいでしょう。 もし、コンピュータがネットワークに 24 時間フルに接続されているならば (つまり、PPP コネクションではなく Ethernet や それと同等なコネクションの場合)、 ネットワーク管理者に以下の情報を尋ねておくとよいでしょう。 * ホスト名 (これは、ご自分で決めることができる場合もあります。) * ドメイン名 * ホストの IP アドレス * ネットワークの IP アドレス * ネットワークのネットマスク * ネットワークで使うブロードキャストアドレス * ご自分のネットワークにゲートウェイが_ある_ならば、 デフォルトの経路となるゲートウェイの IP アドレス * ご自分のネットワーク上にある DNS (Domain Name Service) サーバとして使用するホスト * イーサネットを使ってネットワークで接続するかどうか。 * イーサネットのインターフェースは PCMCIA カードかどうか。 もしそうなら、お手持ちの PCMCIA コントローラの種類は何か。 コンピュータのネットワークへの唯一の接続が、PPP やそれと同等な ダイアルアップ接続を使うシリアルライン経由の場合、 おそらくネットワーク越しに基本システムをインストールすることはしないでしょう。 システムをインストールするまでは、 ネットワークの設定について悩む必要はありません。 Debian 上で PPP の設定をするための情報については 以下の Section 7.24, `PPP の設定'をご覧ください。 3.3. インストール前にすべきハードウェアとオペレーティングシステムの設定 ----------------------------------------------------------------------- 時々インストールに先立ってシステムを調整しなければならないことがあります。 x86 プラットフォームは、これらに関しては最も悪名高いものです。 他のアーキテクチャ上では、 インストール前にすべきハードウェアの設定はかなり単純です。 この節では、Debian のインストールに先立ってする必要があるかもしれない ハードウェアの設定を通して見てみましょう。 一般的に、このことはシステムのファームウェアの設定をチェックすること、 時にはそれを変更することを意味します。 「ファームウェア」は、ハードウェアが利用する中核的なソフトウェアで、 (電源が投入された後) ブートプロセスの間に起動される重要なものです。 3.3.1. BIOS 設定メニューの起動 ------------------------------ BIOS は、オペレーティングシステムがハードウェアにアクセスできるようブート するために、必要な基本的機能を提供するものです。 断続的にクラッシュしたり、Debian のインストールの際に動作が 不安定にならないよう、インストールの前に_必ず_ BIOS を正しく設定してください この節の残りの部分は、PC ハードウェア FAQ (ftp://rtfm.mit.edu/pub/usenet-by-hierarchy/comp/sys/ibm/pc/hardware/systems/) の "CMOS 設定メニューを呼び出すにはどのキーを押せばよいのでしょうか?" という質問への答から引用したものです。 BIOS (あるいは ``CMOS'') 設定メニューの呼び出し方は、BIOS ソフトウェアの作成元によって異なります。 [From: burnesa@cat.com (Shaun Burnet)] AMI BIOS BIOS 起動画面の表示中に Del キーを押す (パワーオン自己診断テスト) Award BIOS Ctrl-Alt-Esc あるいは BIOS 起動画面の表示中に Del キーを押す DTK BIOS BIOS 起動画面の表示中に Esc キーを押す IBM PS/2 BIOS Ctrl-Alt-Del の後 Ctrl-Alt-Ins を押す Phoenix BIOS Ctrl-Alt-Esc あるいは Ctrl-Alt-S [From: mike@pencom.com (Mike Heath)] 286 マシンの中には、BIOS 中に CMOS 設定メニューを持たないものもあります。 これらは、CMOS 設定プログラムのソフトウェアを必要とします。 もしお使いのマシン用のインストールディスクや診断ディスクをお持ちでない場合 は、シェアウェアやフリーウェアのプログラムを試してみてください。 ftp://oak.oakland.edu/pub/simtelnet/msdos/ を探してみてください。 3.3.2. ブートデバイスの選択 --------------------------- たいていの BIOS 設定メニューではシステムをブートするデバイスを選ぶことが できます。 ブート可能なオペレーティングシステムを `A:' (最初のフロッピーディスク)、選択できるなら次に最初の CD-ROM 装置 (おそらく `D:' や`E:'でしょう)、 `C:' (最初のハードディスク) の順に探すように設定してください。 この設定では、フロッピーディスクからでも CD-ROM からでもブートが可能です。 この二つのブートデバイスは、Debian のインストールで用いられる最も一般的な ものでしょう。 もしお持ちのシステムに CD-ROM から直接ブートする機能がなかったり、 またあっても単にうまく動作しない場合でも、見込みがないわけではありません。 インストール作業を始めるために、DOS の下で `E:\install\boot.bat' を単に実行してください。(`E:'の部分は、DOS が CD-ROM に割り当てているドライブ名でおきかえてください。) 詳細は以下のSection 5.4, `CD-ROM からのインストール' をご覧ください。 また、FAT (DOS) パーティションからインストールする場合も、 フロッピーディスクはまったく必要ありません。 この方法によるインストールについてのより詳しい情報は以下の Section 5.3.1, `DOS パーティションからのインストール' をご覧ください。 3.3.3. エクステンデッドメモリー対エクスパンデッドメモリー --------------------------------------------------------- システムがエクス_テン_デッドとエクス_パン_デッドのメモリを サポートしているならば、エクステンデッドメモリをできるだけ多くし、 エクスパンデッドメモリをできるだけ小さくするように設定してください。 Linux は エクステンデッドメモリを必要とし、 一方エクスパンデッドメモリを使用することができません 3.3.4. ウィルス防御 ------------------- BIOS が提供する、ウィルスの警告をするような機能は使用しないでください。 もし、ウィルス防御のボードやその他の特別なハードウェアを持っているならば、 Linux が動いている間は使用しないか、物理的に取り外してください。 これらは Linux と互換性がありませんし、その上ファイルシステムの パーミッションと Linux カーネルのメモリ保護のために、 ウィルスはほとんど問題になりません [1]。 [1] インストールが終了したら、 お望みならブートセクタの保護を機能させても結構です。 ブートマネージャがセットアップされたあとは、 マスタブートレコード (MBR) を変更する必要はないからです。 こちらの機能は、Linux 上ではセキュリティを高めてくれたりはしませんが、 Windows をお使いの場合は惨事を防いでくれるかもしれません。 3.3.5. シャドー RAM ------------------- ご使用になるマザーボードにはおそらく _シャドー RAM_ の機能があり、 ``Video BIOS Shadow'' や ``C800-CBFF Shadow'' などの設定が可能でしょう。 すべての シャドー RAM を _無効_ にしてください。シャドー RAM はマザーボードやある種のコントローラ上の ROM に高速にアクセスするために 利用されますが、Linux は ROM 内の 16 ビットのプログラムに代わって 独自の高速な 32 ビットのソフトウェアを提供し、Linux を起動するとこれらの ROM を無効にします。シャドー RAM を使用しないことによって、 その一部を普通のメモリとしてプログラムが利用することもできます。 また、シャドー RAM を有効にしたままでは、 Linux のハードウェアへのアクセスが邪魔されるかもしれません。 3.3.6. アドバンスドパワーマネージメント --------------------------------------- マザーボードが アドバンスド パワー マネージメント (APM) に対応していれば、 APM によって電源管理されるように設定できます。そのときには doze、standby、 suspend、nap や sleep モード、ハードディスクの power-down タイマーを 使用しないように設定してください。Linux はこれらのモードの制御を 引き継ぐことができ、BIOS よりも適切に電源管理を行なうことができます。 ただ、インストールフロッピーディスク上のカーネルのバージョンでは APM を使いません。というのも、Linux の APM ドライバが設定されることによって、 あるラップトップのシステムがクラッシュしたとの報告があるからです。 一旦 Linux をインストールしたら 、独自に設定したバージョンの Linux カーネルを構築することができます。 その方法の手順については、Section 8.4, `新しいカーネルのコンパイル' をご覧ください。 3.3.7. ターボスイッチ --------------------- 多数のシステムには_ターボ_スイッチがあり、これを用いて CPU の速度が制御できます。これは高速になるように設定してください。 ターボスイッチ (もしくは CPU 速度) のソフトウェア制御を BIOS で設定 できるならば無効にし、常にシステムを高速モードで動作するようにしてください。 私たちは、ある特定のシステムにおいて Linux がハードウェアの 自動検出をしている間に、偶然ターボスイッチのソフトウェア・コントロールを Linux が操作してしまったという報告を受けています。 3.3.8. CPU のオーバークロック ----------------------------- 多くの人たちが、例えば 90 MHz CPU を 100 MHz で動作させるようなことに挑戦しています。 これは時にはうまくいきますが、温度や他の要因に敏感で、 実際にシステムに損傷を与えることもあります。 この文書の著者は、自分のシステムを 1 年間オーバークロックで動作させたことがありますが、その際、 カーネルのコンパイル中に予期しないシグナルを受けて `gcc' の実行が中断するようになってしまいました。 この問題は、CPU の速度を普通に戻すことで解決しました。 3.3.9. メモリーの不良 --------------------- `gcc' コンパイラを使ってはじめて、メモリーの不良 (もしくは、予期しないデータの改竄を引き起すような他のハードウェア問題) によって処理が中断する現象に遭遇することがよくあります。 これは `gcc' が膨大なデータ構造を構築し、それを繰り返し 使うからです。これらのデータ構造のエラーは不正な命令や存在しないアドレス へのアクセスを引き起こします。 この徴候として `gcc' が予期しないシグナルで中断するのです。 本当に優れたマザーボードはパリティ付き RAM をサポートし、システムがエラー を検出したときに教えてくれるものです。ただ残念なことにこれらもエラーを 訂正する機能までは持っていません。したがって、一般的に RAM の不良を知らせた 時点でクラッシュしてしまいます。それでも、黙ってデータを誤ったものに してしまうよりは、教えてくれた方がよいでしょう。結局最もよいシステムは、 パリティをサポートしたマザーボードに、本当のパリティを持った メモリーモジュールの組合せということになります。 Section 2.5.3, `似非 もしくは「仮想」パリティ RAM'をご覧ください。 本当のパリティ付き RAM を持ち、マザーボードがそれに対応しているならば、 メモリがパリティエラーを起こしたときに、割り込みが有効になるよう BIOS を設定してください。 3.3.10. Cyrix CPU とフロッピーディスクのエラー ---------------------------------------------- Cyrix の CPU を使っているユーザは、インストールの間はキャッシュを 無効にしなければなりません。なぜなら、キャッシュを有効にしておくと フロッピーディスクのエラーが起こるからです。 ただ、キャッシュが無効になっているとシステムが_かなり_遅くなるので、 インストールが終了したら再びキャッシュを有効にするのを忘れないでください。 私たちは必ずしも、この問題が Cyrix の CPU の欠陥によるものだとは 考えていません。もしかしたら、Linux 周りの何かが問題なのかもしれません。 私たちは引続きこの問題を調査していきます。なお、技術的な好奇心からですが、 16 ビットから 32 ビットコードへ切り替わった後に キャッシュがおかしくなる問題ではないかと考えています。 3.3.11. 注意を要する BIOS の雑多な設定 -------------------------------------- もしも BIOS が ``15-16 MB Memory Hole'' のような設定を提供していたら、 それを無効にしてください。Linux はたくさんの RAM が載っている場合 それらを探そうとします。 私たちは Intel の Endeavor というマザーボード に搭載された ``LFB'' または ``Linear Frame Buffer'' などと呼ばれているオプションに関して ある報告を受けています。このオプションは、``Disabled'' と ``1 Megabyte'' の 2 つの設定が可能ですが、これは ``1 Megabyte'' に設定してください。 ``Disabled'' に設定すると、インストールフロッピーディスクが正常に読まれず、 結果としてシステムはクラッシュしてしまいます。 この文書を書いている時点では、私たちはこの独特のデバイスが何をしているのか (有効にしていると動作して、無効にしていると動作しないこと以上は) 分かっていません。 3.3.12. 注意を要する周辺機器の設定 ---------------------------------- BIOS の設定に加えて、実際に搭載している他のカードの設定を変更する 必要があるかもしれません。設定メニューを持つカードもありますし、 ジャンパーによって設定するものもあります。 提供が望まれる有益な情報かもしれませんが、この文書では ハードウェアデバイスすべての完全な情報を提供することはできません。 ``mapped memory'' のついたカードの場合、そのメモリは 0xA0000 - 0xFFFFF ( 640KB から 1MB の間) のどこかか RAM の全容量より少なくとも 1MB 以上 の上のアドレスにマップされる必要があります。 ------------------------------------------------------------------------------- 4. ハードディスクのパーティション分割 ------------------------------------- 4.1. 背景 --------- ディスクのパーティション分割とは、単にディスクをいくつかの区画に分割する ことです。それぞれの区画は、互いに独立しており、大まかに言えば、 家を壁で仕切るようなものです。 ある部屋に家具を置いても、他の部屋には影響がないのと同じです。 もし、すでに何らかの OS (Windows95、Windows NT、OS/2、MacOS、Solaris、 FreeBSD、...) がインストール済みで、それと同じディスクに Linux をインストールするなら、おそらくディスクのパーティションを切り直す 必要があるでしょう。 一般的に、すでにファイルシステムが形成されているパーティションに変更を 加えることは、そこに保持された情報をいくらか破壊することを意味します。 そのため、パーティションを切り直す前には、 必ずバックアップをとっておくべきです。先ほどの家の例を持ち出せば、 壁を移動したり、何か壁をこわしかねないようなことをするときに、 ふつうはあらかじめ家具を邪魔にならないところに移動しておくでしょう。 幸いなことに、ユーザによっては別の方法もあります。Section 4.7, `DOS、Windows、OS/2 から始める際に損失のないパーティション切り直し'をご覧ください。 GNU/Linux には、それ自身のために最低限一つのパーティションが必要です。 オペレーティングシステム全体、つまりアプリケーションや個人的なファイルを 一つのパーティションに収めることができます。また、常に正しいとは限りませんが、 たいていのユーザはスワップパーティションも必要だと考えます。 「スワップ」とは、オペレーティングシステムが用いるメモリの一時退避用空間 です。これは、システムが安価なディスク記憶装置を「仮想記憶」として用いる ことを可能にするものです。 スワップを独立したパーティションに割り当てることは、その利用をより 効果的なものにします。 (Linux に普通のファイルをスワップとして利用させることも可能ではありますが、 お勧めできません。) しかし、多くの人々は最低限必要な数よりも多くのパーティションを GNU/Linux に割り当てます。 ファイルシステムをいくつかのより小さなパーティションに分割する理由には二つ あります。一つめは安全性です。もし、偶然に何かがファイルシステムを破壊した としても、 一般的にその影響を被るのは一つのパーティションだけです。そのため、システム の一部を (注意深く保持しておいたバックアップと) 取り換えるだけですみます。 最低限、いわゆるルートパーティションを作ることは考慮すべきです。ここには システムの最も基本的な構成部分が収められ、もし他のパーティションに破損が 生じたとしても、システムを補修するために Linux をブートすることができます。 このことは、システムをゼロから再インストールしなければならないような トラブルを防ぎます。 二つめの理由は、コンピュータの利用方法にかなり依存する問題ではありますが、 一般的に商利用の際により重要になってくるものです。 何かが管理の外でディスクスペースを消費し始めたと仮定します。もしその プロセスがルート特権を得るようなことが起きれば (システムは一般ユーザが 使用できないディスク領域をある程度確保しています)、 ディスクスペースがなくなっていることに突然気づかされるでしょう。 OS は、さまざま作業のために (スワップスペースのほかに) 実ファイルを利用する必要があるので、このことは不具合を引き起こします。 さらに、このことは、ローカルシステムに由来する問題でないこともありえます。 例えば、電子メールとしてスパムメールを取り込むことは、パーティションを容易 に溢れさせえます。より多くのパーティションを用いることは、このような問題の 多くからシステムを保護するのです。 もう一度電子メールの例を取り上げるならば、`/var/spool/mail' に独自のパーティションを割り当てれば、スパムメールを取り込んでも、 システムの大半はその動作に支障はないでしょう。 もし大きな IDE ディスクを持っていながら、LBA アドレッシングも オーバーレイドライバ (ハードディスクメーカーから提供されることもある) も利用しない場合は、別の理由が当てはまります。 この場合、ルートパーティションをハードディスクの先頭 1024 シリンダ以内 (普通 524MB 程度) に収める必要があるでしょう。 より多くのパーティションを利用する際に、唯一実際に障害となるのは、 あらかじめどのようなパーティションが必要となるかを予測することが、 多くの場合難しいことです。 もしあまりに小さなパーティションを用意したなら、 システムを再インストールしたり、 容量の足りないパーティションにスペースを空けるために、 しょっちゅうファイルを移動したりしなければならないでしょう。 一方、あまりに大きなパーティションを用意すれば、 他で利用できるスペースを浪費しかねません。 近頃はディスクも安価になったとはいえ、お金を無駄に使う必要はないでしょう? 4.2. システムの利用計画 ----------------------- どのような種類のマシンを構築するのか決めることは重要です。 このことから、必要なディスク容量は決定されるでしょうし、 パーティション分割の方針も影響を受けるでしょう Debian では、利用者の便宜に合わせて標準的な「プロフィール」がいくつか用意 されています。(Section 7.22, `プロフィールの選択とインストール' をご覧ください。) プロフィールとは、パッケージの選択がより簡単になるように用意された、 パッケージ選択の単なるセットです。 これはいくつかのパッケージに、 インストールされるよう自動的にマークを付けてくれます。 用意されたプロフィールは、それぞれインストール完了時の システムサイズが異なります。 これらのプロフィールをお使いにならないとしても、 システム設計にこちらの論議は重要です。 なぜならこれは、パーティションのサイズや、 必要になるパーティションの数を決定する際のヒントを与えてくれるからです。 以下は、ご利用いただけるプロフィールのいくつかとそのサイズをまとめたものです。 Server_std 標準的なサーバ 小規模なサーバ向けのプロフィールです。 シェルユーザ用のソフトウェアを持たない スリムなサーバに有用です。 こちらは基本的に FTP サーバ、ウェブサーバ、DNS、NIS、POP を装備しています。 必要となるディスク容量は約 50MB です。 もちろん、このサイズはインストールされるソフトウェアのものだけで、 ご利用になるデータのためにさらにディスクが必要です。 Dialup ダイアルアップマシン X Window System、グラフィックやサウンドに関するアプリケーション、 エディタなどを装備した標準的なディスクトップマシン向けのプロフィールです。 こちらのパッケージのサイズは約 500 MB です。 Work_std 標準的なワークステーション X Window System や、X のアプリケーションを装備しない ユーザマシン向けの最もスリムなプロフィールです。 おそらくラップトップやモバイルコンピュータに適切でしょう。 こちらのサイズは約 140MB です。 (なおこの文書の著者は、X11 も含めてこれよりも少ない約 100MB で済む、シンプルで優れたラップトップ向けの設定も知っています。) Devel_comp 開発環境 Perl や、C、C++ などのすべての開発パッケージを備えた デスクトップマシン用の設定です。そのサイズは約 475MB です。 ただ、X11 や 他の用途に用いる付加的なパッケージをいくつか追加するならば、 この種のマシンでは約 800MB 近いディスクが必要になることを 見越しておくべきでしょう。 心に留めておいていただきたいのですが、こちらのサイズには、 通常よく使われるユーザファイルや電子メイル、データなどの他のファイルが、 まったく含まれていません。 ご自身のファイルやデータのスペースは、大きめに見積もることが常に肝要です。 特に、 Debian の `/var' パーティションには、 たくさんのシステム情報が収められます。 `dpkg' ファイル (インストール済みパッケージの情報など) はゆうに 20MB は消費します。 またログファイルやその他のファイルのために、 通常少なくとも `/var' パーティションに 50MB は空けておいてください。 4.2.1. PC ディスクの制限 ------------------------ 一般的に PC の BIOS にはディスクパーティションに関する付加的な制限があります。 一つのドライブに作成できる「基本」および「論理」 パーティションの個数に制限があることもその一つです。 さらに、ドライブのどのパーティションからブートが可能なのかにも制限があります。 より詳細な情報については、 Linux パーティション HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/Partition.html) をご覧になっていただくとして、 この節では、一般によくある状況下で役立つ概要を簡単に紹介します。 「基本」パーティションは、PC ディスクに元々あったパーティションの枠組です。 しかし、その個数はたった 4 つに限られています。 「拡張」および「論理」パーティションが考案されたのは、 過去のこのような制限を乗り越えるためでした。 基本パーティションの一つを拡張パーティションとして設定すると、 そのパーティションの全領域を、 いくつかの論理パーティションにさらに分割することができます。 作成できる論理パーティションの個数に制限はありません。ただ、 一つのディスクに作成できる拡張パーティションは一つのみです。 Linux の場合パーティションは、SCSI ディスクの場合 15 個まで (そのうちの 3 個は基本領域として、12 個は論理パーティションとして使用可能)、 IDE ディスクの場合は 63 個まで (そのうちの 3 個は基本領域として、60 個は論理パーティションとして使用可能) 作成できます。 知っておくべき PC BIOS に関する最後の問題が、ブートパーティションに関する ものです。ブートパーティションとは、カーネルイメージが収められる パーティションのことですが、このパーティションはドライブの先頭 1024 シリンダ内に収まっている必要があるのです。 通常はルートパーティションがブートパーティションでしょうから、 ご自分のルートパーティションがディスクの先頭 1024 シリンダ内に確実に 収まるようにする必要があります。 もし大きなディスクをお持ちの場合は、 シリンダ変換機構を使う必要があるかもしれません。 こちらは、BIOS の LBA 変換モードのような項目からで設定できるでしょう。 大きなディスクに関する問題についての詳細な情報については、 ラージディスク HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/Large-Disk.html) をご覧ください。 なお、シリンダ変換機構をお使いになっている場合は、ブートパーティションを 1024 番目のシリンダが変換されている位置内に収めなければなりません。 4.3. Linux におけるデバイス名 ----------------------------- Linux におけるディスクおよびパーティションの命名法は、他のオペレーティング システムとは異なっています。パーティションを作成したりマウントする際には、 Linux がどのようなディスク名を用いるのか知っておく必要があります。 以下は基本的な命名法の仕組みです。 * 第 1 フロッピードライブは ``/dev/fd0'' と名付けられる。 * 第 2 フロッピードライブは ``/dev/fd1'' と名付けられる。 * 第 1 SCSI ディスク (SCSI ID address-wise) は ``/dev/sda'' と名付けられる。 * 第 2 SCSI ディスク (address-wise) は ``/dev/sdb'' と名付けられ、以下も同様。 * 第 1 SCSI CD-ROM は ``/dev/scd0'' および ``/dev/sr0'' と名付けられる。 * IDE プライマリーコントローラのマスターディスクは ``/dev/hda'' と名付けられる。 * IDE プライマリーコントローラのスレーブディスクは ``/dev/hdb'' と名付けられる。 * IDE セカンダリーコントローラのマスターディスクおよびスレーブディスクは、 それぞれ ``/dev/hdc''、``/dev/hdd''と名付けられる。最近の IDE コントローラ は二つのチャンネルを持ち、事実上二つのコントローラがあるように動作する。 * 第 1 XT ディスクは ``/dev/xda'' と名付けられる。 * 第 2 XT ディスクは ``/dev/xdb'' と名付けられる。 各ディスクのパーティションは、ディスク名に十進数を付け加えることで 表します。例えば、``sda1'' と ``sda2'' はそれぞれ、システムにある 第 1 SCSI ディスクドライブの第 1、 第 2 パーティションを表します。 実際にありそうな例をあげてみましょう。 二つの SCSI ディスクを持つシステムで、一方の SCSI アドレスが 2、もう一方の SCSI アドレスが 4 だとします。 最初のディスク (アドレス 2) は ``sda''、 二つ目のディスクは ``sdb'' と名付けられます。 もし ``sda'' ドライブに 3 つのパーティションがあるなら、 それらは ``sda1''、``sda2''、``sda3'' と名付けられます。 ``sdb'' ディスクとそのパーティションにも同じことが当てはまります。 もし二つの SCSI ホストバスアダプタ (コントローラ) がある場合、 ドライブの順序が混乱するかもしれないことに注意してください。 ドライブのモデルを知っていると仮定するなら、 このケースでの最もよい解決策はブートメッセージを見ることです。 Linux は基本パーティションを、 ドライブ名に 1 から 4 の数字をつけた名前で表します。 例えば、第 1 IDE ドライブの第 1 基本パーティションは、 `/dev/hda1' となります。 論理パーティションは、5 という数字から始められ、同じドライブの 第 1 論理パーティションは、 `/dev/hda5' になります。 また、拡張パーティションとは、論理パーティションを含む基本パーティションの ことですが、これ自体は使用できないことを覚えておいてください。 このことは IDE ディスクと同様 SCSI ディスクにも当てはまります。 4.4. パーティション分割の推奨案 ------------------------------- すでに述べたとおり、独立した小さなルートパーティションは必ず作るべきです。 また、スペースがあるならば大きな `/usr' パーティションを作るべきです。 例をあげるなら、大抵のユーザは最初のうちはパーティションを二つ用意すれば 十分でしょう。パーティションをたくさん用意することはディスクスペースを 浪費するので、小さなディスクを一つしか持っていない場合には、 特にこうするのが適切です。 もし、Debian のディストリビューションに含まれていないプログラムをたくさんイン ストールしようと考えているならば、`/usr/local' パーティションを 必要とする場合もあるでしょう。 また、メイルサーバとして利用するならば、 `/var/spool/mail' に 別のパーティションを必要とするかもしれません。 `/tmp' に 20 から 32MB ほど、独自のパーティションを割り当てるこ とは、多くの場合よい考えです。 たくさんのユーザアカウントをかかえるサーバを設置するなら、独立した大き な `/home' パーティションを用意することも概してよいことです。 このように、パーティション割り振りの条件は、一般的に利用法の違いからコン ピュータによってさまざまです。 とても複雑なシステムのためには、 マルチディスク HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/Multi-Disk-HOWTO.html) をご覧になるとよいでしょう。 こちらには、ISP の管理者やサーバを設置する方の関心事の多くが、 詳細な情報として含まれています。 スワップスペースの問題に関しては、さまざまな見方があります。大雑把ながらも よいやりかたは、搭載しているシステムメモリーと同じ容量のスワップを用意する ことです。ただ、64MB 以上のスワップは大抵のユーザにとってはおそらく意味が ないでしょう。またたいていの場合、スワップを 16MB より小さくするのも避ける べきでしょう。 もちろん、これらのルールにも例外はあります。例えば 256MB ほどの RAM を積んだマシンで、10000 もの方程式を同時に解こうとするならば、1GB (もしくはそれ以上) ものスワップを必要とするでしょう。 お使いになるアーキテクチャ用の Linux が、単一のスワップパーティション上では 128 MB 以上のスワップを用いないことには注意してください。 ただ、インストールの後、128 MB 以上のスワップ を用意するために、`/etc/fstab' を直接編集し、 複数のスワップパーティションを有効にすることはできます。 もしこのようにたくさんのスワップを必要とするならば、おそらくは、 異なるディスクにスワップ領域を分散するよう (この手法は「スピンドル」とも呼ばれる)、試みるべきでしょう。 もしくは、この制限が緩和された最新の Linux カーネル (2.2 以降) を試すこともできます。(ただこのことは、 他のシステム上の変更を要することもありますのでご注意ください。) 4.5. パーティション分割の一例 ----------------------------- 一例として、32MB の RAM と `/dev/hda' に 1.7GB IDE ハードディスクを搭載した著者の一人のホームマシンの例をあげましょう。 `/dev/hda1' には 500MB の DOS パーティションがあります。 (それほど使うわけではないので 200MB 程度にするべきでした。) `/dev/hda3' を 32MB のスワップパーティションとして使用し、 のこり (約 1.2GB の `/dev/hda2') を、 Linux パーティションにしています。 4.6. インストール前のパーティション分割 --------------------------------------- パーティションの分割は、Debian をインストールする前と、インストールの最中 の二度にわたって行うことができます。 お手持ちのコンピュータを Debian 専用機にする場合には、 ブートプロセスの間にパーティションを作成 (Section 7.5, ```Partition a Hard Disk''') すべきでしょう。 一方、複数のオペレーティングシステムを持つマシンをお持ちの場合は、 一般的には各オペレーティングシステムで、 それ専用のパーティションを作成すべきです。 以下の節では、インストールに先だって行うネーティブ オペレーティングシステム上でのパーティション分割に関する情報を扱います。 なお、他のオペレーティングシステムが参照するパーティション名と Linux が付けるパーティション名がどのように対応するのは確認しておくべきでしょう。 Section 4.3, `Linux におけるデバイス名' をご覧ください。 4.6.1. DOS や Windows 上からパーティションを分割する ---------------------------------------------------- 既存の FAT もしくは NTFS パーティションを扱う場合には、 以下の方法か、Windows か DOS 専用のツールを用いることをお勧めします。 それ以外の方法で、 DOS や Windows からパーティションを分割する必要はまったくありません。 一般的に Linux 上のパーティション分割ツールを使えば、 より適切に作業が行えるからです。 4.7. DOS、Windows、OS/2 から始める際に損失のないパーティション切り直し ---------------------------------------------------------------------- 最も一般的なインストールの一つは、すでに DOS (Windows3.1 を含む) や、 32 bit 版 Windows (Windows 95 や 98、NT)、 OS/2 などを含むシステムへのインストールでしょう。 そこでは、既存のシステムを破壊することなく、 同じディスクに Debian をインストールすることが要求されます。 Section 4.1, `背景'で説明したように、 不用意に既存のパーティションのサイズを減らすことは、 ほぼ間違いなくそのパーティションに損傷をあたえるでしょう。 以下に述べる方法は、データを保護する保証はありませんが、実際にはとても うまくいくでしょう。ただ用心のために、_バックアップは取るべきです_。 先に進む前に、ディスクをどのように分割するのか決めておくべきですが、 この節では、単に一つのパーティションを二つの部分に分割する方法を説明します。 そして、その一つに既存の OS を残し、もう一つを Debian で利用します。なお、 Debian をインストールする際には、ディスクの内 Debian で使うよう割り当てた 部分を、(スワップやファイルシステムとして) あなたが適切だと判断する割合で 使用する機会があたえられるでしょう。 ここで紹介する方法は、パーティション情報を改変する前に、パーティション 上の全データを、そのパーティションの先頭部分に移動するというものです。 こうすることでデータの損失はなくなります。 パーティションの後ろの方にファイルが存在すると、パーティションから得られる 空き領域が減ってしまいます。そのため、データの移動とパーティションの 切り直しの間に、ファイルをパーティションの終りの方に作らない、 あるいは作らせないようにすることが重要です。 まず最初に必要となるのは、`fips' のコピーです。これは、 お近くの Debian ミラーサイトの `tools/' ディレクトリから入手できます。 そのアーカイブを展開 (unzip) して、`RESTORRB.EXE'、 `FIPS.EXE'、`ERRORS.TXT' のファイルをブート可能な フロッピーにコピーしてください。ブート可能なフロッピーは、DOS 上で `sys a:' というコマンドを用いることで作ることができます。 `fips' には大変優れたドキュメントが用意されていますが、こちらが 必要になるかもしれません。特に、ディスク圧縮ドライバやディスクマネージャを お使いの場合は、このドキュメントを読むことが必要でしょう。 ディスクを最適化する_まえ_に、 このフロッピーディスクを作りドキュメントをお読みください。 次に必要なことは、すべてのデータをパーティションの前方に移動することです。 DOS 6.0 以降に標準で用意されている `defrag' が容易にこの仕事を こなします。同じような芸当をやってのける他のソフトウェアの一覧については、 `fips' のドキュメントをご覧ください。もし Windows95 をお持ちの 場合は、Windows95 上から `defrag' を実行しなければならないこと にご注意ください。DOS は、Windows95 やそれ以降でロングファイルネームを サポートするために使われている VFAT を認識できないからです。 デフラグメントプログラムを実行した後 (大きなディスクでは少々時間が かかります)、作成済みの `fips' を収めたディスクを フロッピードライブに挿入してリブートしてください。そのあとは、単に `a:\fips' と打ち込んで、その指示にしたがってください。 `fips' ではうまくいかない場合は、これ以外にも本当にさまざまな パーティション管理ソフトウェアがあることを心に留めておいてください。 4.8. DOS 上のパーティションを分割する ------------------------------------- Linux 上のツールを用いて、DOS のドライブにパーティションを作成したり、 DOS パーティションの容量を変更したりする場合、多くの人々が FAT パーティションに由来する問題を経験しています。 例えば、DOS や Windows 上で、パフォーマンスが落ちたり、 `scandisk' で整合性の問題が起きたり、 その他原因不明のエラーに遭遇したりといった報告例があります。 どうも、DOS 上で使用するパーティションを作成したりその容量を変更する場合は、 その最初のいくつかのセクタを 0 で埋めておくのがよいようです。 DOS の `format' コマンドを実行する前に、 Linux 上から次のコマンドを実行してください。 dd if=/dev/zero of=/dev/hdXX bs=512 count=4 ------------------------------------------------------------------------------- 5. Debian のインストール方法 ---------------------------- Debian を初めてインストールする場合、いくつかの作業段階を経てインストール をします。それは以下の順序になります。 1. インストーラのブート 2. システムの初期設定 3. 基本システムのインストール 4. 新しい基本システムのブート 5. 残りのシステムのインストール 各作業段階ごとに、そこで行なう作業ではさまざまな方法を用いることができます。 ただ、フラットフォームが異なれば、 利用できる方法が異なってくることには注意してください。 この文書では Intel x86 アーキテクチャで利用できる方法のみを扱います。 最初の作業段階である Debian インストーラのブートは、 以下のメディアから行なうことができます。 * Rescue Floppy * ブート可能な CD-ROM * 他のオペレーティングシステムにて実行するブートローダ これらのさまざまな方法は Section 5.1.1, `初めてのブートに用いるメディアの選択' にて説明します。 お使いになっているハードウェアによっては、 最初のブートが最も困難な場合もあります。 こちらについては 章 6, `インストーラのブート' という別の節を設けましたので、そちらで説明します。 一旦 Linux をブートしたら、`dbootstrap' プログラムが起動し、 第 2 段階であるシステムの初期設定を行います。この作業段階については 章 7, ``dbootstrap' によるシステムの初期設定' で詳細に説明します。 「Debian 基本システム」は、Debian がスタンドアローンで動作するのに最低限 必要な、核となる一連のパッケージです。 初期設定を行って、一旦基本システムをインストールすれば、そのマシンは他に 依存せずそれ自身で動作できるようになります。 Debian 基本システムは、フロッピーディスク、ハードディスク、CD-ROM、 NFS サーバなどのメディアからインストールできます。 `dbootstrap' がこのインストールを実行します。こちらに関しては、 Section 7.13, ```Install the Base System''' で説明します。 インストールの最終段階は、残りの Debian システムをインストールすることです。 こちらには、X Window System、エディター、シェル、開発環境など、 実際にお使いになるアプリケーションやドキュメントが含まれます。 残りの Debian システムは、CD-ROM や Debian アーカイブのあらゆるミラーから (インターネットやそれ以外から、また HTTP や、FTP、NFS 経由で) インストール することができます。 現時点では、`dselect' もしくは `apt-get' といった標準的な Debian パッケージ管理ツールを使うことになるでしょう。 この作業段階については Section 7.25, `システムの残りの部分をインストールする' で説明します。 インストールのある作業段階で利用するメディアと、 他の作業段階で利用するメディアが同じものである必要の_ない_ ことは心に留めておいてください。 つまり、Rescue Floppy からブートし、NFS から基本システムをインストールし、 システムの残りをインターネットからインストールすることもできるのです。 システムをアーカイブからダウンロードするならば、普通フロッピーから 基本システムをインストールし、インターネット経由で完全な Debian システムをインストールするでしょう。 以下ではさまざまなインストール方法と、インストールに必要となるファイルに ついて説明します。 どのファイルを用いるのか、またどの段階でインストールに用いるメディアを 用意する必要があるのかは、Debian のインストールの際にお選びになる 方法によって異なります。 5.1. インストールに用いるメディアの選択 --------------------------------------- まず最初に、インストーラのブートに用いるメディアを、 その次に基本システムのインストールに用いる方法を選択してください。 前述したように、それぞれ異なる方法が選択可能です。 5.1.1. 初めてのブートに用いるメディアの選択 ------------------------------------------- インストーラをブートする方法には、フロッピー、 ブート可能な CD-ROM、 もしくは、Linux 以外で用いられるブートローダーがあります。 フロッピーからのブートはほとんどのプラットフォームでサポートされています。 フロッピーによるブートについてはSection 5.6.1, `フロッピーからのブート'に説明があります。 CD-ROM からのブートは、最も簡単なインストール方法の一つです。 ただ、運悪く CD-ROM 上のカーネルがうまく動作しなかったら、 他の方法に戻ってください。 CD-ROM からのインストールは Section 5.4, `CD-ROM からのインストール' で説明します。 既存のオペレーティングシステムからブートすることが、適切な選択であることも よくあります。というのは、あるシステムではこちらがインストールの唯一の方法 であるからです。この方法についてはSection 5.3, `ハードディスクからのインストール'で説明します。 5.1.2. 基本システムのインストールに用いるメディアの選択 ------------------------------------------------------- 基本システムは、フロッピー (Section 5.7.1, `フロッピーから基本システムをインストールする')、 CD-ROM (Section 5.4, `CD-ROM からのインストール')、NFS サーバ (Section 5.5, `NFS からのインストール')、 ローカルハードディスク (Section 5.3, `ハードディスクからのインストール') のいずれかからインストール することができます。 お持ちのメディアの中から、最も都合のよいものを選択してください。 5.2. システムファイルインストールの解説 --------------------------------------- この節では、`disks-i386' ディレクトリにあるファイルの 一覧を簡単な説明を付して紹介します。 これらすべてをダウンロードする必要はないでしょう。このことはブートおよび 基本システムのメディアに、何をお選びになるかによってまったく異なってきます。 ほとんどのファイルはフロッピーディスクのイメージです。これらは必要な フロッピーディスクを作成するためにディスクに書き込まれる、 単一のファイルとなっています。 これらのイメージは、明らかに 1.4MB や 1.2MB、720KB といった書き込み先の フロッピーの容量によって異なってきます。どの容量のものが利用できるかは、 お使いのプラットフォームによって左右されます。 (例えば 720KB ドライブは Atari 固有のものです。) それぞれのファイル名に、1.4MB ドライブ用のイメージでは ``14'' という数字 が、1.2MB ドライブ用のイメージでは ``12'' という数字が、そして、720KB 用のイメージでは ``72'' という数字が埋め込まれています。 もしこの文書をネットワークに接続されたコンピュータ上のウェブブラウザで ご覧になっているなら、ブラウザ上でファイル名を選択することで各ファイルを 取り寄せることができるでしょう。 お使いになっているブラウザにもよりますが、 バイナリモードでそのまま直接ファイルにダウンロードするためには、 特別な操作が必要かもしれません。 例えばネットスケープナビゲータでファイルを取り寄せるためには、 シフトキーを押したままそのリンクをクリックする必要があります。 この文書に記載されている URL から各ファイルをダウンロード することができますが、それらを ftp://ftp.debian.org/debian/dists/slink/main/disks-i386/current/ や、 Debian ミラーサイト (http://www.debian.org/distrib/ftplist) の対応するディレクトリから取り寄せることも可能です。 resc1440.bin, resc1440tecra.bin, resc1200.bin -- Rescue Floppy のイメージ これらは Rescue Floppy のディスクイメージです。Rescue Floppy は、 初期設定、もしくは将来何かの理由でシステムが起動できなくなった緊急時に 使われます。そのため、インストールにフロッピーディスクを使用しない場合も、 このディスクイメージをフロッピーディスクに用意しておくことをお勧めします。 5.25 インチのフロッピードライブをお持ちの場合は、ファイル名に 1200 あるいは 1440 という数字が埋め込まれたイメージを使ってください。 後述しますが root.bin も必要になります。 なお ``tecra'' イメージは、 標準ディスクで問題がある場合に用いる代替カーネルです。 drv1440.bin, drv1440tecra.bin, drv1200.bin -- Drivers Floppy のイメージ これらは Drivers Floppy のディスクイメージです。 このディスクイメージは、カーネルモジュールやドライバのうち、 最初のブートには必要のないハードウェアのものを収めています。 必要となるドライバは、インストールの作業の間に選択することができます。 もし特別な Rescue Floppy イメージをお使いになる場合は、 それに対応した Drivers Floppy を使う必要があります。 base2_1.tgz か、 base14-1.bin, base14-2.bin, base14-3.bin, base14-4.bin, base14-5.bin, base14-6.bin, base14-7.bin 、あるいは base12-1.bin, base12-2.bin, base12-3.bin, base12-4.bin, base12-5.bin, base12-6.bin, base12-7.bin, base12-8.bin, base12-9.bin -- 基本システムのイメージ これらのファイルには、インストールの作業時に Linux パーティションに インストールされる基本システムを収めてあります。これは残りのパッケージを インストールするために必要な最低限のシステムです。CD-ROM や ハードディスク、 NFS などのフロッピー以外のメディアからインストールする際には、 `base2_1.tgz' ファイルが利用できます。 root.bin -- ルートイメージ システムのブート時にメモリー上にロードされるテンポラリー ファイルシステムのイメージです。 ハードディスクや CD-ROM からインストールする際に利用してください。 また、ルートファイルシステムが何らかの理由で Rescue Floppy におさまらない場合もこちらを利用します。 例えば、5.25 インチフロッピーからブートする場合は、 root.bin が必要になるでしょう。 lowmem.bin -- メモリ消費量の少ないブートイメージ こちらは、搭載しているメモリが 5MB 未満のマシンでインストールを行なうための、 メモリ消費量の少ない代替ブートイメージです。 そのような状況下においてどのようにインストールを行なうかについては、 Section 5.7, `メモリーの少ないシステムでのインストール' をご覧ください。 lowmemrd.bin -- メモリ消費量の少ないルートファイルシステム こちらは、メモリの少ないマシンでインストールを行なう際に用いる ルートファイルシステムです。 具体的に言うと、5.25 インチドライブを利用する場合、 lowmem.bin がそのディスク容量に収まりきらないために、 こちらを利用します。 rawrite2.exe フロッピーディスクイメージを、フロッピーに書き込むための DOS ユーティリティです。イメージをフロッピーにコピーするのではなく、 このユーティリティを使って直接書き込んでください。 loadlin.exe -- Linux ブートローダー DOS パーティションや CD-ROM からインストールする際には、 このブートローダーが必要になります。 Section 5.3.1, `DOS パーティションからのインストール'をご覧ください。 install.bat DOS から Debian のインストールを始めるための DOS バッチファイルです。 このバッチファイルはハードディスクや CD-ROM からインストールする際に 使用します。Section 5.3.1, `DOS パーティションからのインストール'をご覧ください。 linux -- カーネルイメージ こちらは、ハードディスクや CD からのインストールに用いる Linux カーネルのイメージです。 お使いになるブラウザにもよりますが、このファイルをダウンロードする際、 バイナリモードでそのまま直接ファイルにダウンロードするために 特別な操作が必要なことを忘れないでください。 例えばネットスケープナビゲータでファイルを取り寄せる場合には、 シフトキーを押したままそのリンクをクリックする必要があります。 install.txt、 install.html -- インストールマニュアル 今お読みなっている、プレーン ASCII もしくは HTML 形式のこのファイル fdisk.txt cfdisk.txt ご利用になれるパーティション分割ソフトウェアの使用説明書 basecont.txt 基本システムの内容一覧 md5sum.txt こちらは、各バイナリファイルの MD5 チェックサムの一覧です。 `md5sum' プログラムをお持ちであれば、 `md5sum -v -c md5sum.txt' を実行することで、 お手持ちのファイルが改竄されていないか確認することができます。 5.3. ハードディスクからのインストール ------------------------------------- 場合によっては、既存のオペレーティングシステムからブートなさりたい かもしれません。基本システムをディスクからインストールする場合でも、 インストールシステムを他の方法を用いてブートすることは可能です。 5.3.1. DOS パーティションからのインストール ------------------------------------------- 同じマシンにすでにインストールされた DOS パーティションから Debian をインストールすることも可能です。 その方法には次の二つがあります。 一つはフロッピーをまったく使わないインストール方法、 もう一つはブートは Rescue Floppy から行ない、 基本システムはローカルハードディスクからインストールするという方法です。 フロッピーを使わずにブートを試みる場合は以下の説明にしたがってください。 1. 以下のファイルをお近くの Debian ftp ミラーサイトから入手し、 DOS パーティション下のディレクトリに置いてください。 resc1440.bin、drv1440.bin、base2_1.tgz、root.bin、linux、install.bat および loadlin.exe 2. いかなるドライバーもロードせずに (Windows ではなく) DOS をブートしてください。 そのためには、正確に適切なタイミングで _F8_ を押す必要があります。 3. 上記のファイルを置いた DOS のディレクトリで `install.bat' を実行してください。 4. 以下の節はとばして、章 6, `インストーラのブート' をご覧ください。 ブートはフロッピーから行なうが、 基本システムは DOS パーティションからインストールしたい場合は、 Section 5.8, `ディスクイメージからフロッピーを作成する' の説明にしたがって、 単に Rescue Floppy と Drivers Floppy をダウンロードし作成してください。 そして base2_1.tgz をダウンロードして、そのファイルを DOS パーティションのどこかに置いてください。 5.3.2. Linux パーティションからのインストール --------------------------------------------- ext2fs パーティション、あるいは Minix パーティションから Debian をインストールすることもできます。 こちらのインストール方法は、例えばすでにインストールされた Linux システムを Debian で完全に置き換える場合に適切です。 Debian のインストール_元_のパーティションと、インストール_先_のパーティションは、別にしなければならないことにご注意ください。 (すなわち、`/、/usr、/lib' などそのすべてを別にしてください。) 既存の Linux パーティションからインストールする場合は、 以下の説明にしたがってください。 1. 以下の一連のファイルを入手し、それらを Linux パーティションにある ディレクトリに置いてください。ご使用になるアーキテクチャに最も適切な ファイルを使ってください。 * Rescue Floppy のイメージ * Drivers Floppy のイメージ * base2_1.tgz 2. パーティションからインストールをする際、 他のブート方法のうち都合のよいものを用いることができます。 以下では、フロッピーでブートしていると仮定していますが、 もちろんどんなインストーラをどんな方法でブートしても構いません。 3. Section 5.8, `ディスクイメージからフロッピーを作成する'で説明したように、Rescue Floppy を作成します。 また Drivers Floppy が必要になることも覚えておいてください。 4. Rescue Floppy をフロッピードライブに挿入して、 コンピュータをリブートしてください。 5. 以下の節はとばして、章 6, `インストーラのブート'をご覧ください。 5.4. CD-ROM からのインストール ------------------------------ もしブート可能な CD ドライブをお持ちで、お使いのアーキテクチャやシステムが CD-ROM からのブートをサポートしているなら、フロッピーはまったく必要ありません。 Section 3.3.2, `ブートデバイスの選択' の説明通りにハードウェアを 設定し、 CD-ROM をドライブに入れてリブートしてください。 ``tecra'' ブートイメージが必要なシステムでは、一枚目の CD-ROM の代りに二枚目の CD-ROM をドライブに挿入してリブートしてください。 そうしたら、以下の節はとばして、章 6, `インストーラのブート' をご覧ください。 もしお使いになるハードウェアが CD-ROM からのブートをサポートしていない場合 は、DOS からブートし、CD の `\boot' ディレクトリにある `boot.bat' ファイルを実行してください。 そうしたら、以下の節はとばして 章 7, ``dbootstrap' によるシステムの初期設定' をご覧ください。 CD-ROMからブートできない場合でも、Debian の基本システムを CD-ROM からインストールすることは可能です。 単に他のインストール方法の一つを用いてブートしてください。 つまり、基本システムや追加パッケージをインストールするときに、 Section 7.13, ```Install the Base System''' の説明にしたがって、CD-ROM ドライブをインストールシステムとして選択すればよいのです。 5.5. NFS からのインストール --------------------------- NFS 経由でインストールできるのは、その性質上基本システムだけです。 すでに説明した方法のいずれかを用いて、手元で利用できる Rescue Floppy と Drivers Floppy を用意しておく必要があるでしょう。 NFS 経由で基本システムをインストールするためには、章 7, ``dbootstrap' によるシステムの初期設定'での説明の通りに標準的なインストール手順を踏まなければな りません。忘れずに、お使いのイーサネットカード用のモジュール (ドライバ) と、 NFS 用のファイルシステムのモジュールをロードしてください。 `dbootstrap' に、 どこに基本システムが置かれているかを尋ねられた時には (Section 7.13, ```Install the Base System''')、NFS を選択しその指示にしたがってください。 5.6. フロッピーからのインストール --------------------------------- フロッピーからのインストールは、 一般的に好ましい方法でも短時間で済む方法でもありませんが、 もしお使いになるシステムがこの方法をサポートしているならば、 いざという時の頼みの綱でしょう。 以下で説明しますが、インストールの際、 いくつかの作業段階ごとにフロッピーの利用が可能です。 5.6.1. フロッピーからのブート ----------------------------- フロッピーからブートするには、まず Rescue Floppy のイメージと Drivers Floppy のイメージを単純にダウンロードしてください。 場合によっては、Section 5.2, `システムファイルインストールの解説' で説明されているように、 お使いになるディスクイメージの種類を選択する必要があるかもしれません。 お使いになるフロッピーイメージを選択するとき、 そちらの節にある情報は参考になるでしょう。 次に、Section 5.8, `ディスクイメージからフロッピーを作成する'の説明にしたがって、 これらのイメージからフロッピーを作成します。 必要があれば Rescue Floppy を修正することもできます。 Section 9.3, `Rescue Floppy のカーネルの交換' をご覧ください。 5.7. メモリーの少ないシステムでのインストール --------------------------------------------- もしお使いになるシステムの搭載するメモリーが 5MB 未満の場合は、メモリーの少ないシステム用に特別に用意されたディスクイメージ lowmem.bin を使わなければならないでしょう。 この場合、全部で 3 枚のフロッピーが必要になります。 * Rescue Floppy * Drivers Floppy * メモリ消費量の少ないブートフロッピー Section 5.8, `ディスクイメージからフロッピーを作成する' の説明を読み、 適切なディスクイメージをフロッピーに書き込んでください。 5.25 インチフロッピードライブしかお持ちでない場合は、 ブートフロッピーの代わりに、メモリ消費量の少ないルートディスク lowmemrd.bin をお使いください。 ブートは Rescue Floppy から行ない、 ルートディスクを要求されたら、 メモリ消費量の少ないこのルートディスクを挿入してください。 あるいは、最初のブートをメモリ消費量の少ないブートフロッピーから 行なっても構いません。 その場合は、そのフロッピーを第 1 フロッピードライブに挿入し、 リブートしてください。 必要があれば、章 6, `インストーラのブート' を読んで、 システムのブートに関する情報を参照してください。 いったんカーネルが立ち上がったら、Section 6.3, `メモリの少ないシステムでのブート' で説明されるように、 メモリの少ないシステム用に特別なインストール準備を行なうかどうかを 尋ねられます。 5.7.1. フロッピーから基本システムをインストールする --------------------------------------------------- 注意: フロッピーが一般的に最も信頼性の低い種類のメディアであることから、 こちらは Debian をインストールする方法としては推奨できません。 こちらの方法が推奨されるのは、お使いになるシステムのハードディスクのいずれ にも、余分な既存のファイルシステムがない場合だけです。 以下の手順にしたがってください。 1. 以下のディスクイメージを入手します。(これらのファイルの詳細は Section 5.2, `システムファイルインストールの解説' にあります。) * Rescue Floppy イメージ * Drivers Floppy イメージ * 基本システムのディスクイメージ (base14-1.bin、 base14-2.bin、など) 2. 必要とするすべてのイメージを書き込むために、十分なフロッピーディスクを 用意します。 3. Section 5.8, `ディスクイメージからフロッピーを作成する' の説明どおりにフロッピーディスクを作成します。 4. Rescue Floppy をフロッピードライブに挿入して、 コンピュータをリブートしてください。 5. 以下の節はとばして、章 6, `インストーラのブート' をご覧ください。 5.8. ディスクイメージからフロッピーを作成する --------------------------------------------- ディスクイメージは、フロッピーディスクの完全な内容を_そのまま_の 形式で含んだファイルです。 `resc1440.bin' のようなディスクイメージは、フロッピーディスクに 単純にコピーすることはできません。 イメージファイルをフロッピーディスクに_そのまま_の形式で 書き込むために、特別なプログラムを用います。 このようなことが必要になるのは、これらのイメージがディスクの内容をそのまま 記録してあるためです。つまり、ファイルからフロッピーへデータの _セクタコピー_が必要になるのです。 お使いのプラットフォームによって、ディスクイメージからフロッピーを作成する 方法は異なってきます。 この節では、異なるプラットフォームでどのようにディスクイメージから フロッピーを作成するかを説明します。 フロッピーをどの方法で作成したとしても、不注意でそれらを壊さないために、 一旦イメージを書き込んだら、忘れずにフロッピーの爪を動かして 書き込み禁止にしてください。 5.8.1. Linux や Unix システムからディスクイメージを書き込む ----------------------------------------------------------- フロッピーディスクイメージをフロッピーディスクに書き込むためには、おそらく システムのルート特権が必要になるでしょう。 適切な空のフロッピーディスクをフロッピードライブに挿入したら、 次に以下のコマンドを使ってください。 dd if=<ファイル名> of=/dev/fd0 bs=512 conv=sync ; sync <ファイル名>のところには、 フロッピーディスクイメージの一つを当てはめます。 また、`/dev/fd0' はフロッピーディスク装置によく使われている名前 です。(こちらは Solaris 上では `/dev/fd/0' になります。) Unix が フロッピーディスクへの書き込みを終える前に、このコマンドは プロンプトを返すかもしれません。そのため、ドライブからフロッピーディスクを 取り出す前に、フロッピードライブのディスク使用中のランプをみて、 それが消えていること、ディスクの回転が止まっていることを確認してください。 システムによっては、ドライブからフロッピーディスクを取り出すために、 なにかコマンドを実行させなければならないかもしれません。 (Solaris 上では `eject' を使ってくさい。 こちらについてはマニュアルページをご覧ください。) またあるシステムは、フロッピーディスクをドライブに挿入すると、それを自動的 にマウントしようと試みます。 そのようなワークステーションで、イメージを_そのまま_の形式で フロッピーディスクに書き込むためには、 この機能を無効にしなければならないかもしれません。 残念ながら、その設定をどのようにするかはお使いになっている オペレーティングシステムによって異なってきます。 Solaris 上では、`vold' が実行されていないことを確認してください。 その他のシステムに関しては、ご自身のシステム管理者にお尋ねください。 5.8.2. DOS や、Windows、OS/2 からディスクイメージを書き込む ----------------------------------------------------------- フロッピーディスクイメージと同じディレクトリに rawrite2.exe プログラムが収録されています。 そこには、`rawrite2' の使用説明書を含む rawrite2.txt ファイルもあります。 フロッピーディスクにイメージを書き込むためには、 まず最初に DOS をブートしてください。 Windows 上の DOS プロンプトから `rawrite2' を実行すると 問題が発生するとの報告が多く寄せられているからです。 また Windows のエクスプローラ上で `rawrite2' をダブルクリックしても動作しないとの報告も受けています。 もし DOS のブート方法をご存知ない場合は、 ブートの際に _F8_ を押してみてください。 一旦プレーンな DOS をブートして、以下のコマンドを使ってください。 rawrite2 -f <ファイル名> -d <ドライブ名> こちらの<ファイル名>には、 書き込むフロッピーディスクのイメージの一つを、 また <ドライブ名> には ``a:'' もしくは ``b:'' を書き込む先のフロッピードライブに応じて当てはめてください。 5.8.3. フロッピーディスクの信頼性 --------------------------------- はじめて Debian をインストールする方々が抱える一番の問題は、 フロッピーディスクの信頼性のようです。 Rescue Floppy は Linux がブートする前にハードウェアによって直接読まれる ことから、最悪の問題点を抱えています。 ハードウェアは Linux のフロッピーディスクドライバほど信頼性のある読み込み をしないことが多く、誤ったデータを読み込んだときには、エラーメッセージも 表示せずに止まってしまうこともあります。 Drivers Floppy や基本システムフロッピーにも、これと同様に失敗する 可能性はあります。ただし、これらのほとんどはディスク I/O エラーに関する たくさんのメッセージを出して、読み込みが失敗したことを教えてくれます。 ある特定のフロッピーでインストールが失敗するならば、まず最初に フロッピーディスクのイメーをダウンロードし直して、 _別の_フロッピーに書き込んでみてください。 フロッピーの再フォーマットや書き込みの際にエラーがでなかったとしても、 古いフロッピーを単に再フォーマットするだけでは不十分でしょう。 場合によっては、異なるシステム上でフロッピーへの書き込みを行う方が よいかもしれません。 一つのフロッピーがうまく動作するまでに _3_ 回もイメージを書き直し、 3 枚目のフロッピーでようやくうまく動作したというユーザの報告もあります。 また、別のユーザは、同じフロッピーを同じフロッピードライブで用いても、 単に数回リブートすればブートに成功したとも報告しています。 これらはすべて、バグのはびこったハードウェアもしくはフロッピードライバの ファームウェアによるものです。 ------------------------------------------------------------------------------- 6. インストーラのブート ----------------------- 前章ではブートシステムを選択しました。 Rescue Floppy、CD-ROM、 あるいは既存のオペレーティングシステムから ブートされていることでしょう。 この章では、ブート方法を制御する方法のいくつかと、ブート時に起こりうる 共通の問題、そして、それらの問題への対処法か、 少なくとも問題の診断に役立つ方法を説明します。 `Control-Alt-Delete' では正確にリセットをできない マシンがあることには注意してください。そのため「ハード」リブートを お勧めします。もし既存のオペレーティングシステム (例えば DOS) からインストールされている場合はどちらでも構いませんが、 それ以外の方法下でのブートの際には、ハードブートをしてください。 6.1. ブートパラメータの引数 --------------------------- ブートパラメータは、周辺機器の正確な制御を保証するために、 一般的に用いられる Linux カーネルのパラメータです。 カーネルはたいてい周辺機器の情報を自動的に検出します。しかし、 場合によってカーネルには少々の補助が必要です。 Rescue Floppy もしくは CD-ROM からブートしているなら、 `boot:' というブートプロンプトが表示されるでしょう。 Rescue Floppy のブートパラメータの使用法に関する詳細は、 Section 6.2, `Rescue Floppy によるブート' にあります。 既存のオペレーティングシステムからブートしているなら、 ブートパラメータの設定には他の手段を用いる必要があるでしょう。 例えば `install.bat' ファイルを、 なんらかのテキストエディタで編集することができます。 ブートパラメータに関する完全な情報は、 Linux ブートプロンプト HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/BootPrompt-HOWTO.html) にあります。この節では最も重要なパラメータの概略のみを扱います。 このシステムを初めてブートする場合は、デフォルトのブートパラメーター を試して (つまり、パラメーターになにも引数を設定しないで)、 正確に動作するかどうかを確認してください。 おそらくそれで問題はないでしょう。もしなにか問題があったら、 あとでリブートし、お使いのハードウェアに関する情報をシステムに 伝えるために必要になる、特別なパラメータを調べてください。 カーネルがブートする際そのプロセスの最初のほうで、 `Memory: k/k available' というメッセージが表示されるでしょう。 は利用可能な全メモリー量をキロバイト単位で表しています。 もしこれが、実際に搭載している RAM の量と一致しなかったならば、 `mem=' というパラメータが必要でしょう。 のところには、実際に搭載しているメモリー量を、 キロバイト単位なら ``k''、メガバイト単位なら ``m'' を付加して当てはめます。 例えば `mem=8192k' も `mem=8m' も 8MB の RAM を意味します。 なお、2.0 シリーズのカーネルは、利用できるメモリが 960MB に制限されています。 もしお使いになるマシンがこれ以上の RAM を搭載しているならば、 `mem=960m' というブートパラメータを追加する必要があります。 システムによっては ``inverted DCLs'' つきのフロッピードライブを装備したものがあります。 フロッピーディスク自体には問題がないにも関わらず、 その読み込み中にエラーが出たときには、 `floppy=thinkpad' というパラメータを試してください。 IBM PS/1 や (ST-506 ディスクドライバを装備した) ValuePoint など、 システムによっては、IDE ドライブが正確に認識されないかもしれません。 もう一度、最初にパラメータなしでカーネルをブートし、IDE ドライブが 正確に認識されるかどうか確認してください。 もし認識できなかったならば、お使いのドライブの geometry (cylinders、heads、および sectors) を調べて、 `hd=,,' というパラメータを使ってみてください。 お使いのモニタが白黒表示しかできないものでしたら、 ブート引数に `mono' を使ってください。 そうしなければ、インストールの際、標準でカラー表示が用いられます。 繰り返しますが、ブートパラメータに関する完全な情報は、 Linux ブートプロンプト HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/BootPrompt-HOWTO.html) にあります。こちらにはマイナーなハードウェアに関する情報もあります。 また雑多な共通事項に関しては、Section 6.6, `ブートプロセスに関するトラブルシューティング' にて説明します。 6.2. Rescue Floppy によるブート ------------------------------- Rescue Floppy によるブートは簡単です。第 1 フロッピードライブに Rescue Floppy を挿入して、_リセット_ ボタンを押すか、 システムの電源を入れ直すことで、システムをリセットしてださい。 なお、すでに述べた通り「ハードリブート」をお勧めします。 フロッピーディスクへのアクセスが始まると、Rescue Floppy を紹介する画面が 表示され、最期に `boot:' というプロンプトが表示されます。 システムをブートするのに他の方法を用いている場合は、その説明にしたがって、 `boot:' プロンプトが表示されるまで待ってください。 お使いになるシステムのメモリが 5MB より少ない 場合は、少ないメモリのシステム向けに用意されたブートディスクからブートする 必要があります。( 以下の Section 5.7, `メモリーの少ないシステムでのインストール' をご覧ください。) 1.4MB フロッピーより小さなフロッピーからブートする場合、 ブート方法として RAM ディスクを使わなければならず、 またルートディスクも必要になるでしょう。 `boot:' プロンプトでは二つのことが可能です。 ファンクションキーの _F1_ から _F10_ キーを押すことで、 有益な情報を提供するページを見たり、システムをブートすることができます。 有用であろうブートパラメータに関する情報は、_F4_ や _F5_ キー を押すことでご覧になることができます。 ブートコマンドラインに何かパラメータを付け加える場合は、最初のパラメータの 前に、必ずブート方法 (デフォルトは `linux' です) と空白を一つ 入力してください。(例えば `linux floppy=thinkpad' とします。) 単に _Enter_ を押せば、特別なパラメータなしで `linux' と入力するのと同じです。 このディスクは Rescue Floppy と名付けられていますが、 それはハードディスクがブートできなくなるような問題が発生した場合に、 システムをブートし不具合を修正するのに、 このディスクを用いることができるからです。 それゆえ、システムをインストールした後も、 このフロッピーはとっておくべきでしょう。 _F3_ キーを押せば、Rescue Floppy の使用法に関するより詳しい情報を ご覧になれます。 一旦 _Enter_ を押すと、`Loading...' そして `Uncompressing Linux...' というメッセージが表示され、 そのあと、おそらく画面いっぱいにお使いになるシステムのハードウェアに関する 情報が表示されるでしょう。 このブートプロセスの段階に関するより詳しい情報については以下で説明します。 もし (``ramdisk'' や ``floppy'' など) 標準的ではないブート方法を選択された 場合は、Root Floppy を挿入するように指示されるかもしません。 その際は、Root Floppy を第 1 ディスクドライブに挿入して _Enter_ を押してください。 (floppy1 を選んだ場合は、Root Floppy を 第 2 ディスクドライブに 挿入してください。) 6.3. メモリの少ないシステムでのブート ------------------------------------- お使いになるシステムが搭載している RAM が 5MB より少ない場合は、Section 5.7, `メモリーの少ないシステムでのインストール' の説明にしたがって、 メモリ消費量の少ないブートフロッピーからブートを行なわなければなりません。 インストーラは、通常のインストールに十分なメモリがないことを検出し、 メモリの少ないシステム向けに特別なインストール作業を 行なうかどうかを尋ねてきます。 以下の順序でメニューを選択していってください。 * `「fdisk' を用いて Linux スワップパーティション (type 82) を作成する。(Use `fdisk' to create a Linux swap partition [type 82].)」 : インストールプロセスは、システムに搭載された以上のメモリを必要とします。 そのため、インストールプロセスの間_仮想記憶_を提供する スワップパーティションが必要になります。 システムのインストール後にお使いになる仮想記憶の容量を選択してください。 おそらく 16MB は実際のところ最低限の容量でしょう。 空き領域に余裕があるならば 32MB を、 こちらにいくら割り当てようが問題にならないくらいディスクが大きい場合は 64MB を仮想記憶として用意してください。 さらに、Minix パーティション (type 81) を作成してください。 こちらには、初期インストールプロセスのファイルシステムが置かれます。 そのサイズは少なくとも 2MB 必要です。 このパーティションはインストール作業が終了した時点で消去することができます。 * 「スワップパーティションを有効にする。(Activate the swap partition.)」 * 「ルートフィルシステムをディスクにコピーする。(Copy the root file-system to disk. )」 : (例えば Rescue Floppy など) `root.bin' ファイルを入れた DOS フォーマットの フロッピーディスクが必要になります。 * 「終了 (Exit.)」 : 通常のインストールを始めます。 6.4. CD-ROM からのブート ------------------------ CD-ROM からのブートは、単に CD-ROM をドライブに挿入して ブートするだけという簡単なものです。 システムがブートすると、`boot:' というプロンプトが表示されます。 ここで、ブートパラメータを入力したり、 カーネルイメージを選択することができます。 6.5. カーネルのスタートアップメッセージの解説 --------------------------------------------- 一連のブート作業が行われている間、 「〜が見つかりません `can't find something'」や、 「〜がありません `something not present'」、 「〜は初期化できません `can't initialize something'」、あるいは 「このリリースのドライバは、〜に依存しています `this driver release depends on something'」 といったたくさんのメッセージが表示されるかもしれません。 これらのメッセージのほとんどは、気にする必要のないものです。 というのも、これらのメッセージは、 インストーラのカーネルがさまざまな周辺機器に幅広く対応するように 構築されているために、表示されるものだからです。 明らかに、可能な限りあらゆる周辺機器を装備したようなコンピュータは 存在しません。そのためオペレーティングシステムは、 実際には搭載されていない周辺機器を探そうとしていくらか文句を言っているのです。 また、システムが短時間停止しているかに見えることもあるかもしれません。 このことは、実際にシステムに搭載されていないデバイスからの反応を、 カーネルが待っていることから起きることです。 もし、システムのブートに我慢できないほど時間がかかる場合は、 独自のカーネルを構築してください。(Section 8.4, `新しいカーネルのコンパイル' をご覧ください。) 6.6. ブートプロセスに関するトラブルシューティング ------------------------------------------------- もし何か問題があって、ブートプロセスの最中にカーネルがハングしたり、 実際に搭載してある周辺機器やドライブが正確に認識されなかった場合は、 まず最初に、Section 6.1, `ブートパラメータの引数' の説明の通りにブートパラメーターを 確認してください。 またこのような問題は、増設したカードや周辺機器を取り外すことで 解決できることもよくあります。こちらも試してみて、 もう一度ブートしてみてください。 内蔵モデムや、サウンドカード、 プラグアンドプレイデバイスなどは特に問題となりがちです。 現行のブートカーネルには、Adaptec AHA-2940 のような AIC7xxx ベースの SCSI カードに関する既知の問題があります。 場合によっては、`aic7xxx=no_probe' というブートパラメータを 追加することによってこの問題を回避できることもあります。 おそらく、この問題はもうすぐ修正されるでしょう。 この問題を解決するために、 新しいカーネルの診断やテストを手伝っていただける方は、 宛てに電子メールを送ってください。 東芝のテクラシリーズやその他のノートブック、 またポータブル機以外のいくつかにも、A20 ゲートのスイッチを入れる際、 キャッシュのフラッシュに失敗するという問題を抱えたものがあります。 この問題は bzImage カーネルでは発生しますが、zImage カーネルでは発生しません。 この問題に苦しんでいるときには、おそらくブートの最中に `A20 gating failed' というメッセージが表示されています。 この場合には、``tecra'' ブートイメージを用いる必要があるでしょう。 この問題にぶつかったときは、ブート中に `A20 gating failed' というメッセージが表示されていないか確認してみてください。 こちらが表示されていた場合には、 'tecra' ブートイメージを使う必要があるでしょう。 このブートイメージに関しては Section 5.2, `システムファイルインストールの解説' をご覧ください。 ルートファイルシステム (RAM ディスクイメージ) をメモリにロードする際に、`out of memory' といったようなエラーが表示された場合は、 Section 5.7, `メモリーの少ないシステムでのインストール' の説明にしたがって、 メモリ消費量の少ないブートフロッピーからブートを行なう必要があります。 お使いになるメモリの少ないシステムのブートを開始したら、 Section 6.3, `メモリの少ないシステムでのブート' にて概説されている各作業を行なってください。 お持ちのマシンが非常に古く、 `Checking 'hlt' instruction...' と表示したあとにカーネルがハングしてしまう場合は、 このチェックを無効にするために、`no-hlt' というブートパラメータを試す必要があるでしょう。 もしまだ何か問題がある場合は、バグレポートを提出してみてください。 これは、 宛に電子メールで送ってください。 なお、その電子メールの先頭行には_必ず_以下の記述を付け加えてください。 Package: boot-floppies Version: のところに、お使いの boot-floppies パッケージのバージョンを必ず書き添えてください。 もしその_バージョン_がご不明の場合は、そのフロッピーをダウンロード した日付を、どのセクション ( ``stable'' や ``frozen'' など) からダウンロードしたかを添えて、書いてください。 バグレポートには以下のような情報を添えてください。 architecture: i386 model: <お使いになっているハードウェアのモデル名> memory: scsi: <もしあれば、SCSI ホストアダプタの名前> cd-rom: network card: <もしあれば、ネットワークインターフェースカードの名前> pcmcia: 問題の性質にもよりますが、インストール先のディスクが IDE ディスクなのか SCSI ディスクなのか、また、オーディオのような他の周辺機器、ディスク容量、 ビデオカードのモデル名などの情報を書き添えることも有益でしょう。 バグレポートの際には、カーネルがハングした際最後に表示される カーネルメッセージを添えて、何が問題なのかを説明してください。 また、問題が起きるまでにシステムに対して行ったことも記述してください ------------------------------------------------------------------------------- 7. `dbootstrap' によるシステムの初期設定 ---------------------------------------- 7.1. `dbootstrap' 入門 ---------------------- `dbootstrap' は、インストーラがブートした後に起動する プログラムです。このプログラムが、システムの初期設定と「基本システム」 のインストールを請け負います。 `dbootstrap' の主な役割、およびシステム初期設定の主な目的は、 お使いになるシステムの主要な設定を行うことです。 例えば、必要ならば IP アドレスやホスト名など ネットワークに関する設定はこちらで行います。 また、「カーネルモジュール」の設定もこちらで行います。 カーネルモジュールとは、カーネルに組み込まれるドライバです。 これらのモジュールには、外部記憶装置のハードウェアドライバや、 ネットワークドライバ、特定の言語や、 他の周辺機器のサポートなどが含まれています。 お使いになるシステムの正確な動作やこれ以降のインストール作業に必要な、 これらの基本的な設定をまず最初に行います。 `dbootstrap' は、シンプルなキャラクタベースのアプリケーションです。 (システムによってはグラフィック機能のないものもあります。) `dbootstrap' の使い方は一般的にはとても簡単で、 その指示にしたがうことで、 インストールの各作業段階を順々にこなすことができます。 また、何か間違いがあったことに気づけば、 前に戻ってその作業をやり直すこともできます。 `dbootstrap' での操作には、矢印キー、_Enter_ キー、 _Tab_ を使います。 Unix や Linux に熟練されている方ならば、 2 番目の_仮想コンソール_を呼び出すために、 _左 Alt-F2_ を押してください。 つまり、スペースバーの左手にある _Alt_ キーと、ファンクションキーの _F2_ を同時に押します。 こちらは `ash' と名付けられた Bourne shell のクローンが起動する独立したウィンドウです。 この時点では RAM ディスクからブートしているので、ご利用になれる Uniix ユーティリティには限りがあります。 `ls /bin /sbin /usr/bin /usr/sbin' とコマンドを入力すれば、 どんなプログラムが利用可能かを確認することができます。 メニューで行える作業はすべてメニューで行い、 シェルや他のコマンドは何か問題のある場合のみ使ってください。 特にスワップパーティションを有効にする際には、 シェルからこちらの操作を行われても、 メニューソフトウェアはそのことを検知できませんから、 常にシェルではなくメニューを使うべきです。 メニューに戻るには _左 Alt-F1_ を押してください。 Linux は 64 個の仮想コンソールを提供していますが、 Rescue Floppy ではそのいくつかしか使えません。 エラーメッセージは、普通 3 番目の仮想ターミナル (`tty3') にリダイレクトされます。 _左 Alt-F3_ (_Alt_ キーを押しながら、 _F3_ ファンクションキーを押す) を押せばこのターミナルに移動することができ、 また、_左 Alt-F1_ を押せば `dbootstrap' に戻ることができます。 7.2. ``Debian GNU/Linux Installation Main Menu'' ------------------------------------------------ システムによっては早過ぎて読めないかもしれませんが、``The installation program is determining the current state of your system and the next installation step that should be performed.'' というダイアログが表示されます。このダイアログボックスは、 メインメニューの各作業段階の間に表示されます。 インストールプログラム `dbootstrap' は その各作業段階の間にシステムの状態を調査します。 この調査の結果を用いれば、 インストールプロセスの最中にシステムが停止するようなことが起きた場合にも、 すでに済ましている作業を無駄にせずに インストールをやり直すことができます。 インストールを最初からやり直さなければならない場合も、 キーボードの設定、スワップパーティションの再有効化、 初期化済みディスクの再マウントは行う必要があります。 ただ、それ以外にこちらで行った作業は、 すべてインストーラによって保存されているでしょう。 インストールの間は ``Debian GNU/Linux Installation Main Menu'' という見出しのついた メインメニューが表示されています。 メニューの一番上の選択肢は、インストーラ上で次にするべき項目に順次 変わっていきます。 Phil Hughes 氏は Linux ジャーナル (http://www.linuxjournal.com/)で、Debian のインストールは_ニワトリ_ にさえ教えることができるだろうと書いています。 つまり、Debian のインストールはほとんど _Enter_ キーを_くちばしでつっつく_だけだと言いたかったようです。 インストールメニューでまず選択すべきものは ``Next''で 示される項目です。 システムはすでに済ませている作業を調べ、 その結果にそってこの項目を決定します。 通常は ``Next'' で示される作業項目を選んでください。 こうすることで、システムインストールのその時点での次の作業段階に進みます。 7.3. ``Configure the Keyboard'' ------------------------------- ``Next'' の項目にカーソルがあるのを確認して、_Enter_ キーを押し、 キーボードの設定メニューに移ってください。 ご自分の母国語で使われる配列に一致するキーボードを選択するか、 また、もしご希望されるキーボードの配列が表示されていなかったならば 似た配列のものを選択してください。 なお一旦システムのインストールが完了すれば、幅広い選択肢の中からキーボ ード配列を選ぶこともできます。 (その場合は、インストールの終了後ルートアカウントで `kbdconfig' を実行してください。) お使いになるキーボードの設定にカーソルを移動し、 _Enter_ キーを押してください。 カーソルの移動には矢印キーを使ってください。 -- 矢印キーは、どんな言語のキーボードでも同じ場所にあるため、 こちらのキーボードの設定には依存しません。 7.4. ラストチャンス! --------------------- すでにバックアップをとるようにお勧めしたかと思います。 これがディスクの中身をきれいに消去する最初の機会であり、また、古いシステム を保存する最後の機会でもあります。 もし、バックアップをとっていなかったら、 フロッピーを抜き、システムをリセットしてバックアップを行ってください。 7.5. ``Partition a Hard Disk'' ------------------------------ まだ、Linux native (専用) パーティションと Linux swap (スワップ) パーティションのそれぞれを、 Section 4.6, `インストール前のパーティション分割' で説明した方法などでは、 一つも作成されていない場合、 ``Next'' で示されるメニューの項目は ``Partition a Hard Disk'' になります。 もしすでに Linux native パーティションと Linux swap パーティションを少な くとも一つずつ作成されていれば、 ``Next'' で示されるメニューの項目は ``Initialize and Activate a Swap Partition'' になります。 もちろん、お使いのシステムのメモリが少なくて、 システムが始動したら直ちにスワップパーティションを 有効にするように求められたならば、この段階はとばしても結構です。 メニューの ``Next'' で示される項目に関わらず、 下矢印キーを使えば ``Partition a Hard Disk'' を選ぶことができます。 ``Partition a Hard Disk'' のメニューでは、 パーティションを作成できるディスクの一覧 が表示され、さらにパーティションを作成するアプリケーションが実行されます。 ``Linux native'' (type 83) ディスクパーティションは、少なくとも一つ作成 しなければなりません。また 章 4, `ハードディスクのパーティション分割' で説明したように、 最低一つは ``Linux swap`` (type 82) パーティションを作成する必要があるでしょう。 もしお使いのシステムでパーティションを作成する方法が不確かな場合は、 こちらの章に戻って、そちらをお読みください。 お使いになるマシンのアーキテクチャにも依りますが、 さまざまなパーティション作成プログラムがご利用になれます。 お使いになるマシンのアーキテクチャでご利用になれるプログラムには、 以下のものがあります。 `fdisk' グルに最適な、Linux オリジナルディスクパーティション作成プログラムです。 fdisk man ページ (fdisk.txt)をお読みください。 `cfdisk' 一般ユーザのための、 操作の容易なフルスクリーン表示ディスクパーティション作成プログラムです。 cfdisk man ページ (cfdisk.txt) をお読みください。 ``Partition a Hard Disk'' を選択すると、 上記のプログラムの一つがデフォルトで実行されます。 もしデフォルトで実行されるプログラムがお望みのものでない場合は、 まずそのディスクパーティション作成プログラムを終了してから、 シェル (tty2) を起動し、お望みのプログラムの名前を (必要なら引数を添えて) 直接入力してください。 そうしたら、`dbootstrap' の ``Partition a Hard Disk'' という作業段階はとばして、 次の作業段階に進んでください。 スワップパーティションを別に用意することを強くお勧めしますが、 そちらを用意せずに済ましたいと強く望まれる場合、 また、お使いになるシステムに 4MB 以上の RAM が搭載されている場合は、 スワップパーティションを用意されなくても構いません。 この場合は ``Do Without a Swap Partition'' という項目を選んでください。 お使いになるルートパーティションには、忘れずに "Bootable" のマークを付けてください。 7.6. ``Initialize and Activate a Swap Partition'' ------------------------------------------------- ディスクパーティションを一つ作成すると、 ``Next'' というメニュー項目が表示されます。 こちらでは次に行なう作業を、``Initialize and Activate a Swap Partition''、``Activate a Previously-Initialized Swap Partition''、 ``Do Without a Swap Partition'' の中から選ぶことができます。 スワップパーティションの再初期化はいつ行なっても差しつかえありませんので、 よく分からない場合は、``Initialize and Activate a Swap Partition'' の項目を選んでください。 このメニュー項目を選択すると、まず最初に ``Please select the partition to activate as a swap device.'' という見出しのついたダイアログボックスが表示されます。 すでにご自分で設定されたスワップパーティションが、 標準のデバイスとして表示されているはずです。 もしそうならば、単に _Enter_ キーを押してください。 次に、ハードディスクの円盤の表面上の欠陥によって生じる不可読ブロックの ために、パーティション全体を調べるオプションを選ぶことができます。 こちらは、(時間はかかるかもしれませんが) 傷をつけた覚えが無くても、 MFM や、RLL、 古い SCSI のディスクを持っている場合には有益です。 最近のシステム上で正確に動作するディスクでは、 ドライブ自体に欠陥のあるディスクブロックを 置き換える内部機能が備えられていますので、 こちらのオプションを選択する必要はありません。 最後に確認を求めるメッセージが表示されます。 初期化を行なうとそのパーティーション上のデータはすべて破壊されるからです。 もし問題がないようでしたら、``Yes'' を選んでください。 初期化プログラムが実行されると画面が点滅します。 7.7. ``Initialize a Linux Partition'' ------------------------------------- ここでの次の選択項目は ``Initialize a Linux Partition'' のはずです。 もしそうではないならば、それは、 ディスクのパーティションの設定を終了していないか、あるいは、 スワップパーティションの選択をしていなかったからです。 こちらでは Linux パーティションの初期化、あるいは、すでに初期化された Linux パーティションのマウントを行なうことができます。 `dbootstrap' には、古いシステムを壊さずに、 システムのアップグレードをするような機能が_ない_ことには 注意してください。 システムのアップグレードをされたい場合は、 Debian それ自体にアップグレードをする機能がありますので、 `dbootstrap' を使う必要はありません。 Debian 2.1 へのアップグレードの手順については、 アップグレードの手引き (http://www.jp.debian.org/releases/2.1/i386/release-notes/) をお読みください。 もし空ではない古いディスクパーティションを使う際に、 その中身をきれいにされたい場合は、ここでそれらの初期化を行なってください。 (これによりすべてのファイルが消去されます。) またさらに、先の作業で作成したパーティションもすべて初期化してください。 この時点で初期化されずにマウントされているパーティションは、 同じインストールフロッピーを用いて インストール作業の一部を行なうために使ったものだけでしょう。 `/' ディスクパーティションの初期化とマウントを行なうために、 ``Next'' というメニュー項目を選んで選んでください。 最初にマウントや初期化をしたパーティションが `/' (これを「ルート」と呼びます) としてマウントされます。 スワップパーティションを初期化したときと同様に、 パーティションの欠陥ブロックの検査をするかどうかを選択できます。 欠陥ブロックの検査は害にはなりませんが、 大きな容量のディスクの場合には 10 分かそれ以上の時間がかかります。 `/' パーティションをマウントすると、 他のインストール作業を先に進めていない限り、 ``Next'' で示されるメニューの項目は ``Install Operating System Kernel and Modules'' になります。 他のパーティションをセットアップされたい場合には、 矢印キーを使って該当するメニュー項目を選択することで、 パーティションを初期化したりマウントしたりすることもできます。 もし、`/var' や `/usr' や 他のファイルシステム用に、独立したパーティションを用意されている場合は、 ここで、それらの初期化やマウントを行なってください。 7.8. ``Mount a Previously-Initialized Partition'' ------------------------------------------------- Section 7.7, ```Initialize a Linux Partition''' の代わりに ``Mount a Previously-Initialized Partition'' の作業を行なうこともできます。 中断してしまったインストールを再開する場合や、 すでに初期化済みのパーティションをマウントしたい場合は、 こちらの作業を行なってください。 7.9. ``Install Operating System Kernel and Modules'' ---------------------------------------------------- ルートパーティションをマウントすると、 これ以前に `dbootstrap' 上で作業済みでない限り、 次のメニュー項目はこちらになるはずです。 こちらではまず最初に、ルートにマウントしたデバイスが適切なものかどうか 確認を求められます。 次に、インストールするカーネルの読み込みに利用できるデバイスの一覧が 表示されます。 (Section 5.1.1, `初めてのブートに用いるメディアの選択' での計画をもとに、) カーネルとモジュールをどのデバイスからインストールするのか、 適切なものをこちらから選択してください。 ローカルファイルシステムからインストールされている場合は、まず、 そのデバイスがまだマウントされていないなら ``harddisk'' デバイスを、 マウント済みならば ``mounted'' デバイスを選んでください。 次に、Section 5.3, `ハードディスクからのインストール' で Debian のインストールに必要なファイルを インストールしておいたパーティションを選びます。 さらに、それらのファイルをファイルシステムのどこに置いたのか、 その場所を指定するよう求められます。その場所の指定は必ず ``/'' から始まる ようにしてしてください。 最後に `dbootstrap' に、実際にインストールするファイルを探すよう 指示します。もちろんお望みならば、ご自分でファイルを指定されても構いません。 フロッピーからインストールされている場合は、 まず Rescue Floppy を挿入し (こちらはおそらくドライブに挿入済みでしょう)、続いて Drivers Floppy を挿入する必要があります。 カーネルとモジュールをネットワーク越しにインストールされたい場合は、 ``nfs'' を選択することでそれを行なうことができます。 お使いになるネットワークインターフェースは、 標準カーネルでサポートされたものでなければなりません。 (Section 2.4, `周辺機器およびその他のハードウェア' をご覧ください。) もし選択肢に ``nfs'' がなかったならば、 ``Cancel'' を選び、メニューを遡って ``Configure the Network'' を選択しなければなりません。 (Section 7.12, ```Configure the Network''' をご覧ください。) それから、もう一度この作業段階をやり直してください。 そうしたら、``nfs'' を選択し、次に NFS サーバの名前とパスを `dbootstrap' に伝えます。 Rescue Floppy と Drivers Floppy のイメージは NFS サーバの適切な場所に置かれているでしょうが、 これらのファイルが、 カーネルとモジュールのインストールに 利用できるようになっていなければなりません。 あとの作業は、他のインストールメディアの場合と同様です。 7.10. ``Configure PCMCIA Support'' ---------------------------------- ``Configure Device Driver Modules'' メニューを選択する前に ``Configure PCMCIA Support'' を選択することもできます。このメニューは PCMCIA サポートを可能に するために使われます。 PCMCIA 搭載のコンピュータであっても、PCMCIA を使って Debian システムを インストール (例えば、PCMCIA イーサネットカードを使ったインストール) していないのであれば、この時点で PCMCIA の設定をする必要はありません。 インストールがすべて終わった後、PCMCIA を設定して 簡単に使用可能にすることができます。 しかし、PCMCIA ネットワークデバイスを使ってインストールしているのであ れば、``Configure Device Driver Modules'' メニューの代りにこのメニューを選択して、 ネットワークの設定より先に PCMCIA サポートの設定をしなければなりません。 PCMCIA をインストールする必要があれば、``Configure PCMCIA Support'' の方を 選んでください。``Configure Device Driver Modules'' メニューの下にあるでしょう。 するとシステムにどの PCMCIA コントローラが搭載されているかを尋ねられます。 多くの場合 `i82365' でしょうが、場合によっては、`tcic' かも知れませんので、はっきりしない場合はご自分のラップトップのベンダが 供給している仕様書を読んでみてください。そこに書いてあるはずです。 前にも言いましたように、特定のハードウェアでは特別な設定が必要になりますが、 一般的に言ってその次にあるいくつかの設定項目は空白のままにしておいても 大丈夫です。 デフォルトのままではうまく動作しないときには、 Linux PCMCIA HOWTO (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/PCMCIA-HOWTO.html) に情報が多数収められていますので、ご参照ください。 まれに、自分で `/etc/pcmcia/config.opts' を読んで編集 しなければならないこともあります。そういう時は、2 番目の仮想ターミナル (_左 Alt-F2_) を 開いて、そこでファイルを編集し、それから PCMCIA を再設定するか、 `insmod' と `rmmod' を使って手作業でモジュール を再読み込みさせることができます。 PCMCIA が適切に設定されてインストールされたら、 次節で説明されているようにデバイスドライバの設定に戻ってください。 7.11. ``Configure Device Driver Modules'' ----------------------------------------- ``Configure Device Driver Modules'' を選び、システムにあるデバイスを探して、 各々のデバイスドライバを設定してください。これらは システムのブート時にいつでも読み込まれるようになります。 この時点ですべてのデバイスの設定を行う必要はありません。重要なのは、 基本システムのインストールで必要なデバイスの設定はすべて ここで行わなければならないということです。 (Section 5.1.2, `基本システムのインストールに用いるメディアの選択'をご覧ください。) これらのデバイスには、イーサネットドライバが含まれています。 インストールが済んだ後では、いつでも `modconf' プログラムを使って モジュールを再設定することができます。 7.12. ``Configure the Network'' ------------------------------- ネットワークを使っていなくても、設定はしなければいけません。 といっても、単に最初の 2 つの質問 -- ``Choose the Host name'' と ``is your system connected to a network?'' (「このシステムはネットワークに接続されていますか?」) に答えるだけで結構です。 ネットワークに接続しているならば、Section 3.2, `必要な情報'から収集した情報 が必要になります。もし主に PPP でネットワークに接続するのでしたら、 ここではネットワーク設定をしない _NOT_ と選択してください。 `dbootstrap' がネットワークに関する いくつかの質問をしますので、Section 3.2, `必要な情報' を元に答えてください。 終るとシステムはネットワークの情報をまとめて表示し、確認を求めてきます。 次に、ネットワークへの接続で主に使われている ネットワークデバイスを指定してください。ふつうは ``eth0'' (一番目のイーサネットドデバイス) でしょう。 ラップトップの場合は、 主要なネットワークデバイスは多分 ``pcmcia'' でしょう。 知っておくと役に立つかもしれない技術的な事をいくつか紹介しておきましょう。 インストーラのプログラムは、ネットワークの IP アドレスをあなたのシステムの IP アドレスとネットマスクから、ビットごとに論理積をとったものと想定します。 ブロードキャストアドレスに関しては、IP アドレスとネットマスクをビット反転したものとの論理和をとったものと想定します。 また、ゲートウェイは DNS サーバであると想定します。 もしも、もしこれらの設定がよく分からなければ、 システムが推測したものを使ってください。 これらはインストール終了後に変更することもできます。 必要であれば `/etc/init.d/network' を編集してください。 (Debian システムでは、デーモンは `/etc/init.d/' にあるスクリプトから起動されます。) 7.13. ``Install the Base System'' --------------------------------- ``Install the Base System'' の作業段階に入ると、 基本システムの読み込みに用いるデバイスがメニューで表示されます。 Section 5.1.2, `基本システムのインストールに用いるメディアの選択' での選択にしたがって、 適切なデバイスを選んでください。 ハードディスク上のファイルシステムや CD-ROM からのインストールを選択された場合は、`base2_1.tgz' ファイルが置いてあるパスを指定するよう求められます。 なお、公式なメディアをお持ちの場合は、 設定するパスはデフォルトのままで正しいはずです。 そうでない場合は、基本システムのあるパスを、 利用しているメディアのマウントポイントからの相対パスとして入力してください。 ``Install Operating System Kernel and Modules'' の作業段階の場合と同様に、 `dbootstrap' 自体にファイルを探させても、 ご自分でプロンプトにそのパスを入力してもどちらでも結構です。 フロッピーディスクからのインストールを選択された方は、 `dbootstrap' の指示にしたがって、順番通りに Base Floppy を 挿入してください。 Base Floppy のいずれかが読めないようなことがあれば、 代わりのフロッピーを作成して、 もう一度すべてのフロッピーをシステムに挿入し直す必要があるでしょう。 一旦すべてのフロッピーの読み込みが終れば、 システムはフロッピーから読み込んだファイルをインストールします。 これには 10 分ほど時間がかかりますが、遅いシステムではもう少し時間がかかり、 早いシステムではより早く済むでしょう。 基本システムを NFS からインストールされる方は、ここで NFS を選択し作業を続けてください。 そのサーバと、そのサーバ上の共有ディレクトリ、 `base2_1.tgz' ファイルのある 共有ディレクトリ以下のサブディレクトリを指定するように指示されます。 NFS マウントに何か問題のあった場合には、 NFS サーバのシステム時間とクライアントのシステム時間が、 大体一致しているかどうかを確認してください。 `tty2' 上で `date' コマンドを用いることで、時間を設定することができます。 つまり、それを手で直接設定する必要があるわけです。 date(1) man ページをご参照ください。 7.14. ``Configure the Base System'' ----------------------------------- この時点で、最小の Debian システムを構築するだけのファイルは読み込みま したが、システムを稼働させる前にいくつかの設定を行わければなりません。 まずタイムゾーンを選択するよう尋ねられるでしょう。タイム ゾーンの指定方法はいくつかありますが、お勧めの方法は ``Directories:'' メニューの中から自分の国 (あるいは大陸) を選択することです。 そうすると利用可能なタイムゾーンが変わりますので、 さらに ``Timezones:'' メニューの中から自分の地理位置 (例えば、国や県、州、市など) を選択します。 次に、システムの時間を GMT に設定するかローカルタイムに設定するか 尋ねられます。 ご自分のコンピュータで Unix を運用する予定ならば、GMT (つまりここでは ``Yes'') を選択してください。Debian と一緒に別の OS も運用 する予定であれば、ローカルタイム (つまりここでは ``No'') を選択してください。 Unix (もちろん Linux も同じく) ではシステムの時間を GMT に保ち、 その見掛けの時間をローカルタイムゾーンに変換します。これにより、 システムが夏時間やうるう年を割り出すことが容易になり、また、 異なるタイムゾーンからログインしたユーザが自分の端末で 使うタイムゾーンを個別に設定することすら可能になります。 7.15. ``Make Linux Bootable Directly From Hard Disk'' ----------------------------------------------------- ハードディスクから直接 Linux をブートするよう選択した場合、 マスターブートレコードをインストールするかどうかを尋ねられます。 ブートマネージャを使用していない (またはブートマネージャとは何か分からない)、あるいはこのマシンに 他のオペレーティングシステムを入れていない場合は、 ``Yes'' と答えてください。 ``Yes'' と答えるとそのままでは DOS などをブートすることが できなくなるのでご注意ください。 ``Yes'' と答えると、次に電源を入れたときに自動的に Linux をブートするかどうか尋ねられます。これは、Linux を_ブート可能なパーティション_ (ハードディスクから読み込まれるパーティション) に設定します。 複数のオペレーティングシステムを一つのマシン上でブートすることは、 今でもなお魔術のようなものです。 この文書では、さまざまなブートマネージャに関する説明は行ないません。 というのも、それらは、 アーキテクチャやサブアーキテクチャによって千差万別だからです。 より詳細な情報については、 お使いになるブートマネージャのドキュメントをお読みください。 ブートマネージャに関する作業を行なう際、いくら注意しても、 注意しすぎるということがないことは覚えておいてください。 i386 の標準ブートローダは ``LILO'' と名付けられたものです。 こちらは、DOS、NT、OS/2 のブート管理など、 さまざまな機能を提供する複合的なプログラムです。 特別に何かをする必要がある場合は、 `/usr/doc/lilo/' ディレクトリにある説明書をよくお読みください。 また http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/LILO.html もご覧ください。 とりあえずこの作業はとばして、あとで Linux の `fdisk' コマンドやプログラム `activate' を使って、 ブート可能なパーティションをなパーティションを設定することもできます。 なお、混乱した状況になってしまい、DOS もブートできなくなったら、 DOS のブートディスクを用意し、`fdisk /mbr' を使って、 DOS ブートブロックを再インストールする必要があるでしょう。 7.16. ``Make a Boot Floppy'' ---------------------------- ハードディスクから起動する方も起動フロッピーは作成してください。 とい うのも、ブートマスタレコードからのハードディスクの起動はいつも うまくいくとは限らないからです。そういう場合でも、起動フロッピーを 使えばたいてい起動します。 ``Make a Boot Floppy'' を選択して、空のフロッピーを挿入してください。 フォーマットして書き込みますのでフロッピーが書き込み可になっているのを 確認してください。書き込みが終ったら、「カスタムブート」とラベルに書いて、 書き込み不可にしてください。 7.17. 決着のとき ---------------- 新しいシステムが初めて自力でブートすることを、 電気を扱うエンジニアは_スモークテスト_と呼んでいます。 もしフロッピードライブにフロッピーが 挿さったままであれば抜いてください。 メニューの項目から ``Reboot the System'' を選びましょう。 もし Debian を直接ブートしてうまくシステムが立ち上がらない場合には 、元のインストール用ブートメディア (例えば Rescue Floppy)、あるいは もしあればご自分で作ったカスタムブートフロッピーを 挿入してシステムを再起動してください。 もし、カスタムブートフロッピーを使ってい_ない_場合は、 おそらくブートパラメータになんらかの引数を渡す必要があるでしょう。 例えば Rescue Floppy やそれと同等の方法でブートする場合は、 `rescue root=' と指定する必要があります。 の箇所には、お使いになるルートパーティションを ``/dev/sda1'' のように当てはめてください。 今度はうまく Debian がブートするはずです。 画面には初めてインストーラをブートした時と同じメッセージが表示 され、今回はその後さらにメッセージが続きます。 7.18. ルートアカウントのパスワードを設定する -------------------------------------------- _ルート (root)_アカウントは_スーパーユーザ_と呼ばれる こともあります。このアカウントは、システムのセキュリティ保護機構 すべてを超越した権限を持つログイン名です。ルートアカウントは システム管理を行う時のみ、できるだけ短い時間内で使われるべきものです。 設定するパスワードは 6 文字から 8 文字で、大文字小文字や記号を 混ぜたものにしてください。これはルート以外のユーザのパスワードでも 同じです。ルートアカウントのような強力なアカウントのパスワード設定には、 細心の注意を払ってください。辞書に載っているような単語や、 類推され易い個人的な情報の使用などは避けてください。 あなたのルートアカウントのパスワードが必要だなどと誰かが言ってきた 場合も、絶対に油断しないでください。 他のシステム管理者と協同でマシンを管理しているのでもない限り、基本的には 絶対にご自分のルートアカウントのパスワードを人に知られてはいけません。 7.19. 一般ユーザの登録 ---------------------- システムは一般ユーザのアカウントを作るよう求めてきます。 こちらを、個人的なログインに用いるアカウントとして主に使ってください。 ルートアカウントを通常の利用や個人的なログインに使っては_いけません_。 なぜいけないのでしょうか? 一つには簡単にシステムに回復不能のダメージを与えられる ルート特権利用を避ける必要があるためです。 また別の理由としては、誰かが仕掛けた_トロイの木馬_ プログラム (これはスーパーユーザの権限を悪用してシステム全体のセキュリティを ぼろぼろにしてしまいます) をうっかり実行してしまうかもしれないからです。 Unix のシステム管理についての良書ならば、 この話題についてより詳しく解説していますので、 この話は初耳だという方はそういった本を読んでみてください。 ユーザアカウント名はお好きなものをつけてください。 例えばあなたの名前が John Smith だとすると、新アカウント名としては ``smith''、``jsmith''、``js'' などが考えられます。 7.20. シャドウパスワードのサポート ---------------------------------- 次に、システムはシャドウパスワードを使うかどうか尋ねられます。 シャドウパスワードは、Linux システムのセキュリティをいくぶん強化してくれる 機構です。 シャドウパスワードなしのシステムでは、パスワードは、 (暗号化されてはいるものの) 世界中から読むこともできる `/etc/passwd' ファイルに記録されています。 というのも、このファイルには重要なユーザ情報、 例えば、ユーザ ID とログイン名を対応づける情報などが納められているので、 システムにログインできる人なら誰でも参照できないと困るのです。 そのため、誰かがパスワードを手に入れようと `/etc/passwd' ファイルをひったくり、力任せにその暗号を破ろうとするかもしれません。 もしシャドウパスワードを使用可能にすると、パスワードは `/etc/shadow' に納められます。 このファイルはルートアカウントだけが_読めるものです_。 そこで、シャドウパスワードを有効にすることをお勧めします。 シャドウパスワード機構の再設定は `shadowconfig' プログラムを 実行すればいつでも可能です。詳しくはインストール後に `/usr/doc/passwd/README.debian.gz' をお読みください。 7.21. PCMCIA サポートの取り外し ------------------------------- もし PCMCIA を使わないのであれば、 ここでそのサポートをシステムから取り外すことができます。 こうすることでシステム起動の過程がよりさっぱりしますし、 またカーネルの取り換えがより簡単になります。 (PCMCIA は PCMCIA ドライバ、カーネルモジュール群、カーネル自体のバージョンの関係に に大きく影響されます。) 7.22. プロフィールの選択とインストール -------------------------------------- 次にインストーラは、Debian があらかじめまとめて提供する、 ソフトウェアの設定集を使うかどうかを尋ねてきます。 新しいマシンにインストールするものは、 いつでもバッケージ毎に選択することができます。 この方法では、後程解説しますが `dselect' プログラムを利用します。 しかし 約 2250 もある Debian のパッケージに対して、 この方法は、ずいぶん手間のかかる作業になるでしょう。 そのため、代りに_タスク_や_プロフィール_を 選択することもできます。 _タスク_とは、「Perl プログラミング」、「HTML ファイルの作成」、 「中国語での文書作成」など、お使いになるマシンで行う作業を指すものです。 タスクは複数選択することもできます。 一方_プロフィール_は、 「ネットワークサーバ」や「パーソナルワークステーション」など、 お使いのマシンが属するカテゴリーを指します。 タスクとは異なり、選択できるプロフィールは一つだけです。 手短にいうと、お急ぎの方はプロフィールを一つ選んでください。 もうすこし時間に余裕のある方は、カスタムプロフィールを選択し、 タスクをいくつか選んでください。 時間がたっぷりあり、何をインストールするか細かく管理されたい方は、 この段階はとばして `dselect' の全機能を使ってください。 すぐに `dselect' の作業段階に入ります。 タスクやプロフィールを選択された方は、 すでにパッケージの選択は完了していますので 、 `dselect' の「選択 (Select)」メニューは必ずとばしてください。 タスクのサイズに関する注意が表示されますが、各タスク毎に表示されるサイズは、 そのタスクに含まれるパッケージの合計のサイズです。 選択した二つのタスクに含まれるパッケージに重複がある場合、 実際に必要となるディスクの容量は、 その二つのタスクの合計のサイズよりも少ないでしょう。 一旦 (ルートおよび個人用の) 両アカウントを追加しすると、 `dselect' プログラムが起動します。 `dselect' を実行する前に、 初心者のための dselect 入門 (dselect-beginner.ja.html) をお読みください。 `dselect' では、 ご自分のシステムにインストールするパッケージを、選択することができます。 もし、ご自分のシステムにインストールされたい追加の Debian パッケージが、 CD-ROM やハードディスクにある場合や、 インターネットをご利用になれる場合は、 この `dselect' はすぐに役立つでしょう。 あるいは、一旦 `dselect' を終了し、 ご自分のシステムに Debian のパッケージを転送してから、 改めて `dselect' を実行することもできます。 なお `dselect' は、スーパーユーザ (ルートアカウント) で実行してください。 7.23. ログイン -------------- `dselect' を終了すると、login プロンプトが表示されます。 ご自分のアカウントと設定したパスワードを用いて、 ログインしてください。 さあこれでシステムを使う準備はできあがりました。 7.24. PPP の設定 ---------------- 注意: CD-ROM からインストールされている場合や、ネットワークへ 直接接続されている場合には、この節をとばして読んでも結構です。 ネットワークがまだ設定されていない場合は、 インストーラがこちらの情報に関する注意を促してくれます。 基本システムには、完全な `ppp' パッケージが含まれています。 このパッケージによって、PPP を利用しての ISP への接続が可能になります。 以下は PPP 接続を設定するにあたっての基本的な解説です。 ブートディスクには、PPP の設定を手伝ってくれる `pppconfig' と名付けられたプログラムが収録されています。 _なおダイアルアップ接続の名前を尋ねられた際には、必ず ``provider'' と名付けてください。_ おそらく、`pppconfig' プログラムにより苦労なく PPP 接続の 設定ができるでしょう。 しかし、もしこのプログラムでうまく設定ができない場合は、 以下の解説を参照してください。 PPP を設定するためには、Linux 上でファイルを閲覧したり編集したり するという基本的なことは知っておく必要があるでしょう。 ファイルを閲覧するためには、`more' や、`.gz' 拡張子の ついた圧縮ファイル用の `zmore' を使います。 例えば `README.debian.gz' を閲覧するには、 `zmore README.debian.gz' と入力してください。 基本システムには二種類のテキストエディタが収録されています。 一つは `ae' です。 こちらは操作は非常に簡単ですが、多機能ではありません。 もう一つは、`elvis-tiny' です。 こちらは、機能が制限された `vi' のクローン版です。 なお後で、`nvi' や `less'、`emacs' といったより多機能なエディタや閲覧ソフトウェアをインストール されるとよいでしょう。 `/etc/ppp/peers/provider' を編集して ``/dev/modem'' を ``/dev/ttyS<#>'' に書き換えてください。 ここでの <#> はお使いになるシリアルポートの番号を表しています。 Linux 上ではこの番号は 0 から数えられますので、最初のシリアルポート (つまり `COM1') が Linux 上では `/dev/ttyS0' になることを覚えておいてください。 次の作業段階では `/etc/chatscripts/provider' を編集して、 ご自分のプロバイダの電話番号、ユーザ名、パスワードを挿入します。 パスワードの前にある ``\q'' は削除しないでください。これはパスワードを隠し て、ログファイルに残らないようにしてくれます。 多くのプロバイダはログイン手続きで、テキストモードの認証の代わりに、 PAP あるいは CHAP を使います。その両方を使うところもあります。 もしプロバイダが PAP や CHAP を求めるなら、異なる手順をふむ必要があります。 `/etc/ppp/peers/provider' にあるダイアル文字列 (行の先頭に ``ATDT'' があるもの) 以下をすべてコメントアウトしてから すでに説明した通りに `/etc/ppp/peers/provider' を修正し、 `user ' を付け加えてください。 こちらの には、 接続を試みているプロバイダでのあなたのユーザ名を当てはめてください。 次に、`/etc/pap-secrets' あるいは `/etc/chap-secrets' を編集して、そちらにあなたのパスワードを入力してください。 さらに `/etc/resolv.conf' を編集して、 プロバイダのネームサーバ (DNS) の IP アドレスを加える必要もあります。 `/etc/resolv.conf' の該当行は、 `nameserver ' という形式になります。 こちらの で示される箇所には、お使いになる IP アドレスの 番号を当てはめてください。 ご自分のプロバイダのログイン手続きが、 大半の ISP と異なるようなことがなければ、これで完了です! ルートアカウントで `pon' と入力して PPP 接続を開始し、 `plog' コマンドを利用してその手続きを監視してください。 接続を切断するためには、`poff' を再びルートアカウントで使用してください。 7.25. システムの残りの部分をインストールする -------------------------------------------- Debian システムの残りの部分のインストールに関する情報は、 初心者のための dselect 入門 (dselect-beginner.ja.html) という別の文書にあります。 なお Section 7.22, `プロフィールの選択とインストール' の説明のようにプロフィールやタスクを利用 される場合、`dselect' の「選択 (Select)」 メニューは必ずとばしてください。 ------------------------------------------------------------------------------- 8. 次のステップとそれから ------------------------- 8.1. Unix を初めてお使いになる方へ ---------------------------------- Unix を初めてお使いになる方は、お出かけになって何冊か本を買い、 それを少しお読みになるとよいでしょう。 Unix FAQ (ftp://rtfm.mit.edu/pub/usenet/news.answers/unix-faq/faq/) には参考となる本や ニュースグループがたくさんあり、役に立つはずです。また、 ユーザフレンドリーな Unix FAQ (http://www.camelcity.com/~noel/usenet/cuuf-FAQ.htm) も調べてみてください。 Linux は Unix の実装の一つです。Linux ドキュメンテーションプロジェクト (LDP) (http://www.linuxdoc.org/) では Linux に関するたくさんの HOWTO やオンラインの書籍をまとめています。 これらの文書の多くは手元のコンピュータにインストールすることもできます。 `doc-linux-html' パッケージ (HTML 版) か `doc-linux-text' パッケージ (テキスト版) を インストールしてみてから、`/usr/doc/HOWTO' ディレクトリを覗いてみてください。 また、国際版の LDP HOWTO も Debian のパッケージとしてご利用いただけます。 なお、Linux JF (Japanese FAQ) Project (http://www.linux.or.jp/JF/)では、 LDP の文書の和訳など、日本語による Linux 関連文書の作成、 取りまとめなどが行なわれており、その文書の一部は `doc-linux-ja' パッケージをインストールすることでも 利用できます。 Debian 固有の情報に関しては以下をご覧ください。 8.2. Debian に慣れる -------------------- 他のディストリビューションで Linux に精通された方でさえも、システムを 整然とした状態に保つためには、Debian について知っておかなくてはな らないことがあります。 この章では Debian に慣れる手助けとなる資料を紹介します。 そのためここでは、Debian の使い方を逐一説明することではなく、 ほとんど時間に余裕のない方でもこのシステムを相当手短に把握できることを 意図しています。 まず把握すべき最も重要な考え方に、Debian のパッケージングシステム があります。基本的に、お使いになるシステムの大部分の運用は、 このパッケージングシステムの管理にしたがって考えられるべきです。 このパッケージングシステムによって管理されるディレクトリには、 以下のディレクトリが含まれています。 * `/usr' (`/usr/local' を除く) * `/var' (`/var/local' を作成し、 それ以下のディレクトリを自由に使うことは可能です) * `/bin' * `/sbin' * `/lib' 例えば、`/usr/bin/perl' をあなたが別に用意したファイルで 置き換えたとしても、その動作には問題はありません。ただし、後で `perl' パッケージを更新すると、 あなたが設置したファイルは、パッケージによって置き換えられてしまいます。 このことは、熟練者ならば `dselect' でパッケージを「保留 hold」 するという操作を行うことで避けることができます。 8.3. さらなる文書や情報 ----------------------- もし、特定のプログラムに関する情報が必要ならば、まずは `man <プログラム名>' や `info <プログラム名>' を実行してみてください。 `/usr/doc' にも有用な文書がたくさんあります。 特に、`/usr/doc/HOWTO' や `/usr/doc/FAQ' には興味深い情報がいくつもあります。 Debian ウェブサイト (http://www.jp.debian.org/) には、Debian に関するたくさんの文書があります。 特に、Debian FAQ (http://www.rr.iij4u.or.jp/~hattas/debian_jp/debian-faq-ja.html) と Debian メーリングリストアーカイブ (http://www.jp.debian.org/Lists-Archives/) をご覧ください。 Debian のコミュニティでは、ユーザがお互いにサポートを行なっています。 Debian のメーリングリストを購読される場合は、 メーリングリストの購読 (http://www.jp.debian.org/MailingLists/subscribe) ページをご覧ください。 なお、Debian JP Project ウェブサイト (http://www.debian.or.jp/) では、日本のユーザによる独自の情報や翻訳された文書などが利用できます。 特に、Debian JP Project のメンバーである鵜飼 文敏さんがまとめられている Debian GNU/Linux に関する Q & A (http://www.debian.or.jp/~ukai/debian/topics-ml.html) には、一度目を通されることをお勧めします。 また、日本のユーザ向けに Debian JP Project で運営されているメーリングリス トがあります。こちらの購読や、過去の記事の閲覧、検索に関しては、 Debian JP メーリングリスト (http://www.debian.or.jp/MailingList.html)をご覧ください。 8.4. 新しいカーネルのコンパイル ------------------------------- なぜ新しいカーネルをコンパイルしようとする人がいるのでしょうか? 確かに Debian の場合、標準で入っているカーネルは多くの機能をサポートしてい るので、ほとんどその必要はありません。しかし、以下のような目的のためには、 新しいカーネルをコンパイルすることは有益です。 * APM や SMP など、 既存のカーネルがサポートしていないハードウェアや機能を利用するため * 使わないドライバを取り除くことでカーネルを最適化し、 ブートに掛かる時間を短くしたり、カーネルのサイズをより小さくするため (カーネルのメモリはディスクにスワップできません) * (ネットワークでのファイヤウォール機能など) デフォルトのカーネルでサポートされていない機能を利用するため * 開発版のカーネルを使用するため * 目新しいことをして友達を感心させるため カーネルをコンパイルすることを恐れないでください。楽しくて有益なことです。 Debian 式にカーネルをコンパイルするには、 `kernel-package'、 `kernel-source-2.0.38' (この文書を執筆している時点で最も新しいバージョンです)、 `fakeroot'、 おそらくすでにインストール済みのいくつかのパッケージ (その完全なリストについては `/usr/doc/kernel-package/README.gz' をご覧ください) が必要です。 必ずしも「Debian 式」にカーネルをコンパイルする必要は_ありません_。 しかし、カーネルの管理にパッケージングシステムを用いることは、 実際により安全で簡単です。 もちろん Linus 氏が配付しているカーネルソースをそのまま利用することもできますし、 その場合はカーネルソースを入手するために `kernel-source-2.0.38' を利用する必要はありません。 もちろん `kernel-source-2.0.38' の代わりに Linus 氏が配付しているカーネルソースをそのまま利用することもできますが、 その場合でも、`kernel-package' を用いてコンパイルを行なってください。 `kernel-package' の利用にあたっては、 `/usr/doc/kernel-package' 以下のディレクトリから完全な文書を ご覧になれるでしょう。そのため、この節では簡単な解説のみを行います。 ここでは、バージョン 2.0.38 のカーネルソースが `/usr/local/src' にあると仮定します。 まずは、ルートアカウントで`/usr/local/src' ディレクトリを作成し、 そのディレクトリの所有者を、 ルートではない通常のお使いになるアカウントに変更してください。 続いて通常のアカウントで、 カーネルソースを展開するディレクトリに 移動 (`cd /usr/local/src') し、カーネルソースを展開 (`tar xzf /usr/src/kernel-source-2.0.38.tar.gz') してから、 そのディレクトリに移動 (`cd kernel-source-2.0.38/') します。 次に、カーネルコンパイルの設定を行ないます。 (X11 がインストールされ設定済みの場合は `make xconfig'で、 そうでない場合は `make menuconfig' で設定します。) オンラインヘルプを時間をかけて読み、その設定は注意深く選択してください。 一般的に、迷った場合はそのデバイスドライバ (イーサネットカードや、 SCSI コントローラなどの周辺機器を制御するソフトウェア) を入れた方がよいでしょう。 なお注意していただきたいのですが、 特定のハードウェアに関係のないその他のオプションで、 よく理解できないものはデフォルトの値のままにしておいてください。 また、"Loadable module support" (デフォルトでは選択されていません) にある "Kernel daemon support (e.g. autoload of modules)" は忘れずに選択してください。 さもないと、Debian のインストールに問題が生じることもあります [1]。 [1] `kerneld' が `kmod' に置き換えられており、代わりに "Kernel module loader" を選択する必要があることには注意してください。 なお Linux 2.2 カーネルは Debian 2.1 では完全にはサポートされていません。 その詳細や変更点については Section 8.5, `Debian 2.1 における Linux 2.2 カーネルの利用' をご覧ください。 続いてソースツリーのクリアと、`kernel-package' のパラメータのリセットを行います。 `/usr/sbin/make-kpkg clean' を実行してください。 さあ、カーネルをコンパイルをしましょう。 `fakeroot /usr/sbin/make-kpkg --revision=custom.1.0 kernel_image' を実行してください。 バージョン番号 ``1.0'' は自由に変えられます。この番号は、 構築したカーネルを後から確認できるようにするためのものだからです。 同様に、``custom'' の箇所にもお好みのキーワード (例えばホスト名など) を使うことができます。 なお、お使いになるマシンのパワーにもよりますが、 カーネルのコンパイルには少し時間がかかります。 もし、PCMCIA の機能が必要ならば、`pcmcia-source' のインストールも必要です。 ルートアカウントで `/usr/src' ディレクトリに gzip で圧縮された tar ファイルを展開します。 (モジュールはそれがあるべき場所、つまり `/usr/src/modules' になくてはなりません。) それから、ルートアカウントで `make-kpkg modules_image' を実行します。 一旦コンパイルが完了すれば、他のパッケージと同じように、 そのカスタムカーネルをインストールすることができます。 ルートアカウントで、 `dpkg -i ../kernel-image-2.0.38-_custom.1.0_i386.deb' を実行してください。 は、カーネルのオプションで設定された ``i586'' のような 任意のサブアーキテクチャーを表しています。 また `dpkg -i kernel-image...' とすると、カーネルと一緒に 役に立つ補助的なファイルもいくつかインストールされます。 例えば、カーネルの問題をデバッグするのに役立つ `System.map' や、 現行のカーネルの設定が記録されている `/boot/config-2.0.38' などが適切にインストールされます。 さらに、新たに作成された `kernel-image-2.0.38' パッケージは、 カーネルイメージの情報を更新してシステムがブートできるようにするために、 自動的に `lilo' を実行してもくれますので、 改めて `lilo' を実行する必要はありません。 なお、モジュールパッケージを作成した場合は 同様にそれもインストールする必要があるでしょう。 さて、システムをリブートする時がやってきました。 これまでの作業の間に何か警告が表示されていたらそちらを注意深く読み、 それから `shutdown -r now' を実行してください。 `kernel-package' に関するより詳しい情報については、 `/usr/doc/kernel-package' をお読みください。 8.5. Debian 2.1 における Linux 2.2 カーネルの利用 ------------------------------------------------- Debian 2.1 における Linux 2.2 カーネルの動作は、 まだ完全には確認されていません。 しかし、ftp://ftp.debian.org/debian/dists/unstable/ からいくつかのパッケージをダウンロードすることを望んでいるならば、 動作するシステムを構築できるはずです。 2.2 カーネル上での不具合が判明しているパッケージの一覧については、 エラッタ: slink における Linux 2.2.x の実行 (http://www.jp.debian.org/releases/2.1/running-kernel-2.2) をご覧ください。 この対応状況に関する最新情報については、 Debian 2.1 リリース情報 (http://www.jp.debian.org/releases/2.1/) をご覧ください。 ------------------------------------------------------------------------------- 9. ブートフロッピーに関する技術情報 ----------------------------------- 9.1. ソースコード ----------------- `boot-floppies' パッケージには、 インストールフロッピーに関するすべてのソースコードが含まれています。 9.2. Rescue Floppy ------------------ Rescue Floppy は Ext2 ファイルシステム (もしくは お使いになるアーキテクチャによっては FAT ファイルシステム) で構成されていますので、Ext2 あるいは FAT ディスクをマウントできるあらゆるシステムから、アクセスできるはずです。 Linux カーネルは、`linux' ファイルにあります。 `root.bin' ファイルは、1.4 MB の Minix ファイルシステムの gzip 圧縮ディスクイメージで、RAM ディスクに読み込まれ、 ルートファイルシステムとして使われます。 9.3. Rescue Floppy のカーネルの交換 ----------------------------------- もし、Rescue Floppy のカーネルを交換する必要があるなら、 以下の機能は (後から読み込み可能な) モジュールではなく、 直接組み込むように設定しなければなりません。 * 初期ラムディスク * FAT、Minix、および Ext2 ファイルシステム (FAT および Minux ファイルシステムを必要としないアーキテクチャもあります。 -- ソースをご覧ください。) * ELF の実行形式 Rescue Floppy 上のファイル `linux' に新たなカーネルをコピーし、 フロッピーにあるシェルスクリプト `rdev.sh' を実行してください。 また、Drivers Floppy の `modules.tgz' ファイルを置き換えたい方がいらっしゃるかもしれません。 このファイルは単に、 `gzip' で圧縮された `/lib/modules/<カーネルバージョン>' の tar ファイルを収録していますので、 すべての主要なディレクトリが同じように tat ファイルに収まるよう、 ルートファイルシステムからこちらを作成してください。 9.4. Base Floppy ---------------- Base Floppy のそれぞれに納められているのは、 1 枚のフロッピーに収まるよう分割され先頭に 512 バイトのヘッダが付けられた、 gzip で圧縮済みの tar アーカイブの各部分です。 よって、ヘッダを除去し中身だけをつなぎ合わせれば、 一つの大きな gzip 圧縮された tar アーカイブができあがります。 このアーカイブには Debian の基本システムが納められていて、 あなたのハードディスク上に展開されます。 ただ、このアーカイブをインストールしただけでは使いものになりませんので、 インストーラの ``Configure the Base System'' から、「ネットワークの設定」、 「カーネルとモジュールのインストール」の各項目を選択し、 一通り設定を済ませておかなければなりません。 ------------------------------------------------------------------------------- 10. 付記 -------- 10.1. この文書について ---------------------- この文書は ``DebianDoc'' DTD を用いて SGML で書かれています。 出力形式は、`debiandoc-sgml' パッケージのプログラムによって生成されています。 この文書では、そのメンテナンス性を高めるために、 実体やマーク区間など数々の SGML の特徴を利用しています。 これらは、プログラミング言語の変数や条件に似た機能を果たします。 その SGML ソースには、異なる各アーキテクチャの情報が含まれていますが、 各アーキテクチャ固有の文章のまとまりを分離するのに、 マーク区間が使われています。 10.2. この文書に貢献するには ---------------------------- この文書に関する問題や提案がある場合には、それらを `boot-floppies' パッケージに対するバグ報告として 提出してください。 その方法については `bug' パッケージや、 Debian バグ追跡システム (http://www.jp.debian.org/Bugs/) のオンラインドキュメントをご覧ください。 なお同じ問題が報告済みかどうかを調べるためには、 boot-floppies パッケージに関するバグ報告 (http://www.jp.debian.org/Bugs/db/pa/lboot-floppies.html) を確認するとよいでしょう。 もし同じ問題が報告済みならば、 宛に、確証のための追加情報や有益な情報を提供することができます。 には報告済みのバグに付けられた番号を当てはめてください。 もちろんこの文書の SGML ソースを入手し、 それに対するパッチを作成していただけるともっと助かります。 SGML ソースは `boot-floppies' パッケージに含まれていますので、 開発版 (ftp://ftp.debian.org/debian/dists/unstable/) ディストリビューションの最新リビジョンを入手してください。 また CVS ソースへのアクセスも近々公開される予定です。 どうか、この文書の著者に直接連絡をとるようなことはし_ない_でく ださい。このマニュアルの話題も含めて `boot-floppies' パッケージに関する議論を行うメーリングリストがあります。 その宛先は になります。また Debian メーリングリスト購読 (http://www.jp.debian.org/MailingLists/subscribe)ページには、 このメーリングリストの購読に関する説明があります。また Debian メーリングリストアーカイブ (http://www.jp.debian.org/Lists-Archives/)では、 その写しをオンラインで読むこともできます。 なお本文書の日本語訳に関する訂正、ご提案に関しては、 日本語版メンテナ 遠藤 美純 にまでご連絡ください。 10.3. 多大な貢献 ---------------- 非常に多くの Debian ユーザや開発者がこの文書に貢献しています。 特に Michael Schmitz (m68k のサポート) や、Frank Neumann (Amiga 向け Debian インストールの手引き (http://www.informatik.uni-oldenburg.de/~amigo/debian_inst.html)の原著者)、 Arto Astala、Eric Delaunay (SPARC に関する情報)、Tapio Lehtonen、 さまざまな文書を編集、著述している Ste'phane Bortzmeyer には多大なご協力をいただきました。 Jim Mintha によるネットワークブートに関する HOWTO (利用可能な URL が不明です) や、 Debian FAQ (http://www.rr.iij4u.or.jp/~hattas/debian_jp/debian-faq-ja.html)、 Linux/m68k FAQ (http://www.linux-m68k.org/faq/faq.html)、SPARC プロセッサ向け Linux FAQ (http://home.att.ne.jp/red/world/sparc/)、 Linux/Alpha FAQ (http://www.linux.or.jp/JF/JFdocs/LinuxAlpha-FAQ.html)やその他の文書には、 極めて有用な文章や情報があります。 これらの自由に利用できる素晴らしい情報源をメンテナンスされている方々は、 高く評価されるべきでしょう。 10.4. 商標表示 -------------- すべての商標には、それぞれに所有者がいます。 ------------------------------------------------------------------------------- Debian GNU/Linux 2.1 のインストール (Intel x86) Bruce Perens Sven Rudolph Igor Grobman James Treacy Adam Di Carlo version 2.1.12, 10 December, 1999